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【Vol.2】ホントに日本の伝統工芸? 「江戸切子」の数奇な運命

【Vol.2】ホントに日本の伝統工芸? 「江戸切子」の数奇な運命

【数奇な運命・2】
パイオニアなのに……下町零細企業はジリ貧!?

 

順調に発展を遂げ、全国に “江戸の切子”の評判が届くようになった頃、切子界に鹿児島から新星が台頭します。それが、今年の大河ドラマ効果で俄然注目を集める「薩摩切子」!

当時、近代化を図った薩摩藩は、海外との交易品を生産or作出するために総勢100名規模の大工場を設立。そこに江戸切子の先駆け・加賀屋から優秀な職人を招き、日本初の色つきガラス(色被〔き〕せガラス)の製造に成功します。この「薩摩の紅ガラス」は国内外で評判となり、日本のガラス工芸に金字塔を打ち立てたわけですが……一方その頃の江戸切子は?

「江戸切子は透明無色の“透(す)きガラス”だったんです。色被せガラスは、設備も職人も多数必要とする高度な技術。用途が実用品ということもあったとは思いますが、江戸でガラスを取り扱う工房は小さな零細企業で、資金的に難しかったんです」と、淑郎さん。
「カットは同じ江戸の技術ですが、総合的には薩摩切子の方が上だったかもしれませんね」

そんな江戸職人の武器は、とにかくカット一筋! 全体にびっしりとカットを施した“総柄”は、初期の江戸切子の特徴であり、魅力といわれています。とはいえ、華やかな大企業・薩摩をよそに地道に頑張る零細企業・江戸職人の胸中は複雑だったかも?

小林硝子工芸所の3代目・淑郎さんの作品は、透きガラスに総柄という江戸時代を思わせるものが多い。「腕前を見せるという意味もありますし、何よりカットでガラスの輝きを発揮させるなら、やっぱり透明なガラスが一番だと思うんです」とのこと。
4代目・昂平さんによれば、江戸切子を手に取った人は「思ったより軽い」と言う人が多いのだそう。現代の名工には5kgのガラスの塊を3kgにまで削って仕上げたという逸話を持つという!

切り子の見方 江戸切子と薩摩切子●
江戸切子と薩摩切子の大きな違いは「色被せ」の使い方(色被せガラスとは、透明なガラスに色のついたガラスを文字通り被せる技法)。江戸切子の色被せは1㎜ほどで、透明感と繊細なカットによる輝きが魅力の一つ。一方、薩摩切子は色ガラスが約2~3㎜ほどと厚く、透明な地色から深い色味が溶け合うような「ぼかし」という美しいグラデーションが特徴と言われている。これらの特徴から、産地の見分けは比較的容易だが、心配なビギナーは素直に職人や店員に尋ねるのが正解だ。

 

有限会社 小林硝子工芸所

1908年、初代・小林菊一郎が切子職人になったことから始まった老舗工房。その後、後に2代目となる長男の英夫と共に現在の猿江にて開業。1973年に淑郎が3代目を、また2010年に淑郎の長男昂平が4代目を継ぐ。現在は工房に直売所、切子教室を併設している。

〒135-0003 東京都江東区猿江2-9-6
電話・FAX:03-3631-6457
Mail:del2salusa1@yahoo.co.jp

《直営店》
営業時間:10:00〜18:00(12:00〜13:00は休憩時間)
定休日:祝日
※ 駐車スペースあり。
※訪問時は、前日までに要連絡。

写真・取材・ 文/POW-DER

(参考文献)
●江戸切子―その流れを支えた人と技 / 山口 勝旦
●NHK 美の壺 切子 (NHK美の壺) / NHK「美の壺」制作班 (編集)

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