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【VOL.5】何かと話題の西郷隆盛のレアなクセ キーワード別 A TO Z

【VOL.5】何かと話題の西郷隆盛のレアなクセ キーワード別 A TO Z

人気の西郷どんですが、レアニッポンではちょっと視点を変えて、彼の奇妙なクセ(人間性)や、エピソードをAtoZのキーワードで6回連載でお届けします。

え、日本人だったらAtoZじゃなくて五十音順だろって? それは西郷どんを取材すればするほど、彼は自分の生き方を貫いた”Rockな人”だったからですよ!?

 

Real(リアル/本当)な食生活

奄美大島は黒糖搾取が厳しく行われていたため、決して豊かな食生活ではなかったが、島に伝わる饗応や宴会を目的とした”ハレ”の伝統料理は今にも残っている。例えば三献という料理がある。漬物、餅、豚の吸物、刺身などが5膳にわたってコース料理的にサーブされる儀式的な料理だ。祝い事などのときに食べられ、西郷隆盛も島に来た初日にふるまわれたという。ここで気になるのが「豚」というキーワード。つまり、当時タブーとされていた肉食が自由に行われていたのだ。例えば、薩摩の役人をもてなすための料理で、だし茶漬けに近い鶏飯は当時から今に残っているほか、野生種の豚やイノシシを使った料理も西郷がいた時代から食べられていたと伝わっている。ただし、日々の食は毒性を持つソテツ(蘇鉄)を重宝していたという記録も。ソテツの実からナリミソという味噌を作り、幹からとったデンプン質を使ったシンガイ(粥)などで栄養をまかなっていたという。ソテツは猛毒を持っているが、毒抜きの方法はそれぞれの家に代々伝わっており、現在でも継承されている。

ソテツの森。当時の島民にとっては命をつなぐ”畑”でもあったのです

Soulful(魂叫)チェス・ト!一刀入魂ごわす

幕末のころ、薩摩藩が採用していた剣術流派は薬丸自顕流(やくまるじげんりゅう)というローカルな流派だ。薬丸自顕流は、「最初の一撃で相手を叩き斬れば、防御も何もいらない」という、極めて攻撃重視の考え方。これがセコいことを嫌う薩摩の気質に合ったようだ。西郷隆盛も郷中教育という独自の教育システムの中で剣を学んでいたが、ケンカに巻き込まれ、腕の腱に大怪我を負う。男子なのに剣を諦めなければならないことに負い目があったと伝えられる西郷。事情を知らない人からは白い目で見られ、一時は肩身が狭い思いをしたそうだ。だが、すぐに開き直り、他の郷の少年たちにからかわれても笑って聞き流したという。ちなみに薩摩剣術の象徴として語られる(刀を撃ち込む際の)「チェスト」という掛け声。これは「チェス・と・行け(一気に突っ込んでいけ)」という言葉の略なのだが意外と知られていない。

西郷どんの卍か・・・じゃなくて、薬丸自顕流をより詳しく知りたい方はコチラを!

Teacher(ティーチャー/先生)としても人気者

西郷隆盛が生まれ育った薩摩では、郷中教育という独自の教育政策がとられていた。これは今でいう自治学区を割り当て、学区内の幼児や年少者の初歩的な教育は、同じ学区内の年長者が見るというシステムだった。教わる側の少年たちは稚児と呼ばれ、15、16歳ごろになると二才(にせ)と呼ばれる指導役になる。二才時代の西郷は、子供たちからの人気がほかの二才より圧倒的に高かった。その理由は、西郷が生まれ育った環境にあった。多くの兄弟姉妹を抱えていた西郷家は、とにかく超の付くほどの貧乏暮らし。長男だった西郷は食べ物や着物をまず弟や妹に与え、自分は最後という意識が強くあったという。それが郷中教育でも弱者優先のグッド・ティーチャーぶりに変わり、子供たちからの信頼を勝ち取った。

Under ground(アンダーグラウンド/隠れた)の豚料理!?

江戸時代、幕府の意向もあって哺乳動物の捕獲は禁止されていた。しかし、薩摩や奄美大島などに行くと、昔からの伝統料理として豚料理や猪料理などが今に残っている。なぜ肉食タブーが薩摩だけないのか!? 実は、これは薩摩の対幕府対策に由来する。外様だった薩摩藩は常に幕府の動向を警戒し、密に軍備補強を行っていた。そのため商人や旅人でも薩摩領内に入ることは難しく、鎖国中の鎖国と言われるほどの徹底した他藩排除を行っていた。そのため、情報が外に漏れることもなく、全国的にはタブーであっても、薩摩では自由に肉を食べることができたのだ。ちなみに、かごしま黒豚の祖とされる種は、江戸初期には琉球から薩摩へと入っていた記録がある。だが、飼育できていたのは一部上流階級のみで、庶民の口に入る豚は、野生種が多かったため、豚肉は大変貴重だったのは間違いない。

島の伝統料理、塩豚。貴重な食材の脂も余さず使うため、肉料理の基本は東西問わずこういった”ポトフ”体のものです

取材・構成/新田哲嗣

構成作家・シナリオライター・演技コーチ。
コミックやゲームのシナリオから舞台・映像の演出、俳優育成のための演技レッスン、ビジネスパーソン向けの魅力開発ワークショップ等々、ビジネスからエンタメまで幅広い分野を手がける。『B型女の取扱説明書』(著作)、『出口汪のマンガでわかる すごい! 記憶術』『出口汪のマンガでわかる 論理的に話す技術』、高校生向け金融知識・FP技能士啓発図書『飛び立て!未来』(シナリオ)などを刊行。https://www.nitta-akitsugu.com/

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