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アーバンリサーチがなぜ?「カッコいい漁師ウェア」に漁師以外も注目

アーバンリサーチがなぜ?「カッコいい漁師ウェア」に漁師以外も注目

あのファッションブランド「アーバンリサーチ」が、漁師ウェアをつくっているのをご存じですか?

アーバンリサーチは、日本各地の良品を地域と連携して表現する「JAPAN MADE PROJECT」という活動を2014年から推進。伝統技術や素材を活かしてさまざまな製品を生み出し、販売しています。

器や竹細工の小物などアパレル以外の製品も多く、それらも十分に面白い。もとい異質なチャレンジ。しかし、そのなかでも「漁師ウェア」はあまりに突飛。なぜ漁師ウェアをつくることになったのかを担当者に質問すると、返ってきた答えがまた突飛でした。「たまたま東北を訪れた際、立ち寄ったコンビニで出会った漁師に『カッコいい漁師ウェアをつくって』と依頼されたから」。漁師の世界はいま深刻な担い手不足に悩まされています。「きつい」「汚い」「危険」……3Kと呼ばれるこれらのイメージが、若者離れを招いているのです。

そこで作業着をカッコ良く変化させることで、わかりやすくイメージを変えられないか。そんな想いに賛同したアーバンリサーチは漁師ウェアの開発をはじめます。アパレル分野ではあるものの、漁師ウェアの知見があるスタッフは当然ながら一人もいません。そこで漁師用のカッパを購入して研究したり、「この穴は何のために開いているんですか?」など漁師さんにヒアリングしたりと、地道に知識を蓄えていきました。それと同時に、想いに賛同してくれる国内の漁師用カッパの生産工場を探します。

実は、カッパはほとんどが中国など海外で生産されています。しかし「JAPAN MADE PROJECT」はその名のとおり、MADE IN JAPANが絶対条件。さらに、通常ではありえない「デザイン性を追求した漁師用カッパ」となると、なかなか協力してくれる工場はありません。これまで繋がりのなかった釣り具メーカーに飛び込みで相談し、工場を教えてもらうなどを繰り返し、やっと和歌山にある老舗の工場の協力を得ることができました。こうしてカッパ老舗メーカーの技法と、アーバンリサーチの持つ新しいデザイン力、この2つが融合したカッパづくりがはじまったのです。

アーバンリサーチが注目したのは、カッパの「パターン(型紙)」と「圧着技法」。カッパは1枚の布地でできているように見えますが、機能性をあげるため、実は何枚ものパターンが組み合わされてできています。そして、通常の縫製では縫い目から水がしみ込む可能性があるので、熱による圧着技法で布地を繋ぎあわせているのです。アーバンリサーチのアイディアは、パターンごとに色を変え、その組み合わせでデザイン性を持たせるというもの。また、布地自体もそれまでになかった色を採用しました。

当初は工場の方たちに「片足、間違った色で指示がきていますよ」「こんな色味は受け入れられないと思うよ」など指摘されることも多々あったそう。しかし完成したカッパは、アーバンリサーチの名に恥じない、「カッパ」でなく「漁師ウェア」という名称がしっくりくるデザインに。

色の組み合わせだけでなく、10案を超える候補から選んだワッペンをつけたり、肩紐の調整幅を広げて、機能性を保ちながらもラフに着こなせるように……など細やかなこだわりを詰め込みました。結果、依頼をくれた漁師やその周りの若い漁師たち、そして東北を越えて全国の「カッコ良さ」を求めていた漁師たちにこの漁師ウェアは大好評!

「もったいなくて着られないよ〜!」と、よそ行きのように保管する漁師さんもいるそうです。

三陸の若手漁師チームの事務局メンバー。某表彰式でカッパにジャケット!

漁師以外の一般の方たちにも「洗車やガーデニングの際に便利」と購入してもらえたり、外国人旅行者の土産品に選ばれたりと、アーバンリサーチのメンバーも想像していなかった広がりが生まれているそう。販売当初は、まずは100着……と計画していたのが、すぐに400着を突破。増産を繰り返す人気商品となっています。

このカッパの他にも、漁師が軽作業をしたり、ちょっと町中に着ていけるようにと開発したシーパーカーは、機能性もデザイン性も高いと大好評。アウトドアやフェス、普段着としても使えると、むしろ漁師以外からの購買が伸びているそうです。最初は男性用のデザインのみでしたが、女性からの要望も強く、現在では女性に向けたサイズ・カラーも展開しています。

「漁師の担い手不足を解消するために、カッコいい漁師ウェアをつくろう!」
突飛すぎる思い付きが形になり、いま少しずつ広がりを見せています。

ファッションで漁師の世界が劇的に変わることはないかもしれません。しかし、これまでモノクロだったその世界にさまざまな彩りが加わったのは、中から見ても外から見ても明らか。その色がどう広がっていくのか、注目してみてはいかがでしょう。

●アーバンリサーチ エスパル仙台店
住所:宮城県仙台市青葉区中央1丁目1−1 エスパル仙台 東館
電話番号:022-794-7356

>>日本一カッコいい変態。宮城県石巻「神経〆師」も、アーバンリサーチを着用していました

 

撮影・取材・文/中川めぐみ
釣りアンバサダー 兼 ツッテ編集長。釣りを通して感じられる日本全国の地域の魅力(食、景観、人、文化など)を発見・発信するため、メディア「ツッテ」の運営や、初心者向けの釣りイベントを実施。自ら全国の港を飛び回っており、2018年は100地域での釣り旅を計画。レアニッポンでは全国の港町で見つけた地域や海にまつわるおもしろいものをお伝えしていきます。https://tsutte.jp

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