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門司港レトロ×クロスカルチャーマルシェという「地方創生」

門司港レトロ×クロスカルチャーマルシェという「地方創生」

九州最北部に位置し、かつては日本三大港(神戸、横浜、門司)のひとつとして繁栄を極めた街、北九州市「門司」。明治~昭和初期の往時を伝えるレトロな街並みが保存されている門司港は、国内外から年間約200万人が訪れる観光地となっています。官民協力のもと、1995年に「門司港レトロ」として生まれ変わってから20年余り。毎週のように開催されるイベントや観光情報を紹介している「門司港レトロインフォメーション」運営、年々規模を拡大しているクロスカルチャーイベント「海辺のカモメ市」主催のacud. 山城淳一さんに、門司港レトロの今をうかがいました。

――「海辺のカモメ市」について教えてください。

今年で5年目になるイベントです。マルシェであり、蚤の市であり、雑貨マーケットであり、音楽イベントでもあります。出店者もお客さまも多く、さまざまな文化を持つ人が集まって、豊かで楽しい時間を過ごすことを目的にしています。現在100以上の出店者が参加して、徐々に規模も拡大してきたので、今年から春と秋の2回開催することになりました。

―― イベントをはじめたきっかけは?

門司港は海に面した心地いい場所。以前からさまざまなイベントが開催されていました。もともと「おさんぽマルシェ」という人気イベントがあり、私も実行委員だったのですが、イベント自体がなくなってしまい、じゃあ、弊社が主催しようかと。当時はナチュラルスタイルが流行っていて、イベントもナチュラル傾向にあったのですが、音楽、アンティーク、食、ファッション、写真など、クロスカルチャー的に混じり合うようなイベントにしたいという思いでスタートしました。

―― 出店希望者が多いそうですが、出展者はどうやって決めているのですか?

レギュラーで登場いただいている人気の出店者さんもいますが、あとはその時々で、主催である弊社で決めています。なるべくプロフェッショナル、もしくはプロフェッショナルを目指している人にお願いするようにしています。規模拡大だけでなく、イベントそのものの質や空気感も大切にしていきたいので。

―― それでも応募は増え続けているようですが?

皆さん、自身の存在意義をかつてないほど意識していると思うんです。SNSや動画共有サービスでの情報発信もそうですし、インターネットでのオリジナルハンドメイド作品の販売などもそう。でも、そこに足りないのは、face to face なリアルでの繋がり。だからこそ、自分でなにかを作り、それをイベントで発信したいという人が多いのだと思います。そんな方のために、昨年から「HandMadeDays」というイベントもスタートしました。こちらも年2回開催で、ハンドメイド作家さんたちが繋がることができる、お祭りのようなイベントです。

―― マルシェの果たす役割とは?

発信したい人と、お客さまとを繋ぐ“場”であるのと同時に、魅力的なマルシェは人を集わせる求心力があります。経済効果も期待できる街づくり、地方創生の一翼も担えると考えています。神戸から福岡に移住してきて、職に迷っている人がいたのですが、もともとファッションの仕事をしていた方だったので、マルシェに参加いただいたら大反響! 今では、アパレル会社をしっかり経営しているそうです。そんな話を聞くと、少しは人の役に立てているのかな、と思ったりします。

ただ、やはり門司港という場所が、単なる“イベントのハコ”で終わってはいけないと思うんです。マルシェ同様、スペース活用はリスクが少ないものの街の色になっていかない。“こんなマルシェにしたい”というビジョンと同様に、“こんな街にしていきたい”というイメージを、皆で明確に共有することで、街全体が鮮やかに彩られていくのではないかと思います。

海辺のカモメ市の人気出店者のひとつGREAT UNKNOWN。 ヨーロッパからのインポートを中心に、 国内外から永く愛用できるような アイテムを取り揃え、 大人の男女に“心地よい毎日”を提案しています。
店舗を持たず、普段はお菓子の注文や店舗へ卸販売を行っているVoilàも、海辺のカモメ市に出店しています。

 

~山城淳一さんが好きな門司港レトロの風景~

明治42(1909)年に門司税関が発足したのをきっかけに、明治45(1912)年に税関庁舎として建設された「旧門司税関」。平成6(1994)年に建物を修復・復元し、ネオ・ルネッサンス調を取り入れた近代建築物としてよみがえった。
“料亭と花街”という門司港の栄華を今に伝える、木造3階建ての料亭「三宜楼」がある清滝地区から望む門司港レトロ~関門海峡。海と船が見える坂道、というのも門司港レトロならではの景観です。
毎年8月13日に開催される「関門海峡花火大会」。門司側70万人、下関側45万人、合計115万人と全国で2番目の集客を誇る。関門橋や夜景を背に、関門海峡を挟んで両岸から計1万5000発が打ち上がる様は圧巻!

山城淳一さん
福岡県北九州市でグラフィックデザイン、WEBデザイン、写真撮影、イベント企画・運営などを行う「acud.」主宰。2008年から門司港レトロ観光サイト「門司港レトロインフォメーション」を運営。

 

~行ってきました! 門司港レトロ~

和布刈(めかり)公園から一望する門司港レトロ。そぞろ歩いても、迷いこんでも楽しい街。門司港観光の案内人ウチヤマさんによると、門司港レトロの建造物の見分け方は「木造建築は大正、レンガ建築は明治、コンクリート建築は昭和」だそう。
「関門橋」は、山口県下関市と北九州市門司区を結ぶ全長1068mの吊り橋。昭和48年(1973)年の開通時は東洋一の長さでした。関門橋の向こうに下関を望む絶景。本当に近い!
門司港発祥、門司港グルメといえばカレー×チーズ×半熟卵が特徴の「焼きカレー」です。門司港レトロエリアには、焼きカレーの店が並び、個性溢れるメニューを提供しています。
大正10(1921)年に三井物産の宿泊施設・社交倶楽部として建設された建物で、重要文化財に指定されている「旧門司三井倶楽部」。大正11(1922)年には講演旅行で来日したアインシュタイン博士が宿泊。実際に泊まった部屋は「アインシュタイン・メモリアルルーム」として、当時のまま再現されています。

大正3(1914)年に完成した、木造2階建て西洋風建築の「門司港駅駅舎」。 ドイツ人技師 ヘルマン・ルムシュッテル監修、左右対称のネオ・ルネッサンス様式の建築。歴史的価値が評価され、駅舎としては初めて国の重要文化財に指定。現在は大規模保存修理工事中で、2019年春に新駅舎完成予定。

 

“門司港レトロ”で知られる「門司」、城下町にして北九州イチの繁華街をもつ「小倉」、かつては石炭、今は環境の街「若松」、“八幡製鉄所”を中心とした工業の街「八幡」、ユネスコ無形文化遺産に登録された「戸畑」の祭り“戸畑祇園大山笠”など、北九州市には男子の旅ヨクを刺激するエリアがたくさんあります。

●北九州市観光サイト「ぐるリッチ北九州」
URL:http://www.gururich-kitaq.com/

●北九州市のことがよくわかる公式サイト「北九州ライフ」
URL:http://www.city.kitakyushu.lg.jp/page/kitakyushulife/

 

撮影/山城淳一(acud.) 取材・文/中野智恵(Fe)

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