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上を向いて歩こう!「名古屋城本丸御殿」の意匠を愛でる

上を向いて歩こう!「名古屋城本丸御殿」の意匠を愛でる

2018年6月8日(金)から完全公開され、大きな話題を集めている名古屋城本丸御殿。日本を代表する近世書院造として注目を集める同城は、視覚的にも贅を極めたつくりになっているのが大きな見どころ。迫力ある見事な天井から、小さくとも思わず目に留まる美しい飾金具まで、さまざまな意匠に的を絞ったビューポイントや楽しみ方を紹介します。

竿という細い横木を等間隔で渡し、その上に天井板をのせる「竿縁天井」。

天井を見ればわかる、部屋の格式

総面積約3000平方メートル、部屋数が30以上という壮大なスケールを誇る名古屋城本丸御殿は、桃山時代の武家文化から生まれた「書院造」の建物。なによりも格式を大切にし、対面や接客の機能に重きを置いてつくられているのが特徴です。そのため、各部屋には明確な役割があり、表向きには玄関、表書院といった公的な部屋、奥向きには対面所などの私的な部屋が設けられています。

表書院やその廊下で見られる「格天井」。

まず注目して見てほしいのは、天井の意匠。各部屋によって違う表情が見られるうえ、奥に進むにしたがってその意匠の様式や趣向が変化し、次第に格式が上がっていくのが面白いようによくわかります。

対面所の上段之間は「黒漆二重折上げ小組格天井」に。升目を作る部材である格縁(ごうぶち)の中に細かい格子を組み入れた小組格天井をさらに高く折り上げ、漆塗りが施されています。

現在の日本の住宅でも広く使われている「竿縁天井」から始まり、45~90センチ程度の升目に組まれた「格天井」、格天井の中央部分を周辺よりも高く仕上げる「折上げ小組格天井」、さらにもう一段上げた「二重折上げ小組格天井」といった具合に格式が上昇。そこにどんどん漆や金具などの細工や蒔絵などが施され、もうこれ以上ない、というほどの豪華な意匠の天井を目にしたときには、本丸御殿の一番奥の上洛殿にたどり着いていることでしょう。

こちらは上洛殿の三之間の「黒漆塗金具付格天井」。黒漆を塗ったうえに飾金具がつき、さらに格子ひとつひとつに天井板絵が嵌められています。
本丸御殿内で一番格式が高い部屋、上洛殿上段之間の「黒漆二重折上げ蒔絵付格天井」。

美しき欄間の数々に瞠目

欄間は天井と鴨居の間の開口部で、採光や換気の機能を果たすとともに、部屋の装飾の役割も担っています。天井と同じく、この欄間も格式によって意匠が異なり、シンプルなものから華やかなものまで変化に富んだ美しい装飾を本丸御殿で見ることができます。

玄関・表書院の「鞘欄間」。本丸御殿の廊下で使用されている、鴨居の上の壁をくり抜き、外光を採るために設けられた欄間。
表書院や対面所の付書院に使用されている「花欄間」。花形の模様が美しい。
上洛殿の廊下で見ることができる「花狭間格子欄間」。透かし彫りの花模様を付けた板でつくられ、部屋の連続性を視覚的に表現。
花鳥風月をあしらった緻密な彫刻が施された極彩色の「彫刻欄間」は、最も格式が高い上洛殿に使用されています。

細部に宿る美意識、飾金具の世界

神は細部に宿る……ともいいますが、実はこの本丸御殿の目を見張るような豪華さに大きく貢献しているのが、さまざまな場所にしつらえられた飾金具の存在です。屋根、襖の引手、長押の釘隠しなど、本丸御殿全体に取り付けられているその数はなんと約3000個! ひとつひとつ職人の手作業によってつくられた、繊細かつ麗しい飾金具は、どれをとっても芸術の域。ぜひ足を止めてじっくり堪能してみてください。自分好みの飾金具を探すのも鑑賞法のひとつとしておすすめです。

屋根にしつらえられた破風金具。
玄関の釘隠し。
表書院の引手金具。
上洛殿の引手金具。
ブドウとリスをモチーフにした上洛殿の釘隠し。

名古屋城本丸御殿
URL:http://honmarugoten.jp

撮影/林 直美 取材・文/木下郁子

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