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【北海道・奥尻島】ウニ尽くし、奇石巡りの離島旅へ

【北海道・奥尻島】ウニ尽くし、奇石巡りの離島旅へ

ウニと奇石の離島、北海道・奥尻島の旅~前編~

北海道はとにかく、広い。なにしろ、九州と四国の面積を合わせても足りないのだから。地図で見ると比較のしようがないので、函館に行くのに軽く千歳から札幌入って、ちょっと足を延ばして函館まで、なんて考えてしまいがちだが、札幌から函館まで電車で4時間もかかるのです。ちょっとどころか、半日潰れてしまいます。

その北海道南西部の日本海に浮かぶ島、奥尻島(おくしりとう)に行くとなると、相当の気合が必要です。気合を入れて臨む奥尻島の面積は142.97平方キロメートルであり、北海道では5番目に面積の広い島です。人口は2707人(2018年4月末現在)。

この島に行くには、空からと海からの2通り。空路は函館空港からJAL系列の北海道エアシステムで奥尻空港まで1日1往復。36人乗りのプロペラ機で約30分。海路はハートランドフェリーで奥尻港~江差港まで1日2往復、片道約2時間10分。また5月から10月までの期間限定の奥尻港~せたな港便。こちらは1日1往復で片道約1時間35分。ちなみにフェリーの発着港である江差には函館から車で約1時間30分、せたなへは千歳から車で約3時間の道のり。やはり気合が必要です。でも、6月頃にはフェリーからイルカの群れを見ることもできるようだから、長い道のりに楽しい出会いにも期待できます。

使用機材はSAAB340B。日本では自動車メーカーとして有名なサーブ社(スウェーデン)で開発製造された双発ターボプロップ旅客機です。JALグループの定期運行機では最小機材。機内にスーツケースの持ち込みはできません!
タラップから乗り込みます。通常、運航乗務員2名、客室乗務員1名で運航します。SAAB340Bの機体はジュラルミンと複合材(ファイバーグラス)が主体でナローボディーですがきれいな円形の断面をしています。
空港機能を必要最低限にしたらこういった空港になるのだろうというくらいシンプルな空港。

北海道の地名はアイヌ語に由来するところも多く、当て字の漢字はおそらく日本でもっとも解読不能のところが多いと思われます。そんな中でも奥尻は読みやすい地名ではあるものの、アイヌ語に由来しています。昔は「イクシュン・シリ」と呼ばれ、のちに「イクシリ」と訛ったそうです。「イク」は向こう、「シリ」は島という意味だそう。「向こうの島」ということなんですね。

さて、その奥尻島は1993年7月12日に起こった北海道南西沖地震で島の南部、青苗地区を中心に津波の被害を受け、198名の尊い命が奪われました。当時の様子は「奥尻島津波館」で知ることができます。辛く悲しい思い出ではありますが、津波による教訓を後世に伝えるための施設なのです。建物のそばには犠牲になった方の慰霊碑「時空翔」があり、石碑にあるくぼみは、地震の震源地となった方向を向き、地震のあった7月12日に石碑の正面に立つとくぼみの中へ沈む夕日を見ることができるそうです。島の方々が未来の奥尻を思う大切な空間であることがわかります。

奥尻島津波館の眼の前にある黒御影石で作られた石碑「時空翔」。石碑のくぼみに地震のあった7月12日に夕日が沈むそうです
北海道南西沖地震で起きた津波の高さを示す防波堤のプレート。そこに立つと、津波のあまりの高さに人の為すすべのなさを感じます

手つかずの自然の恵みが溢れる島・奥尻島

奥尻島は島の大半がブナの森に覆われ、ブナの生息地として離島では最北限なのです。豊かなブナの林により「緑のダム」として、島全体で水を蓄えることができ、島でありながら水が枯渇したことが一度もないそうです。島最高峰「神威山」の麓から湧くミネラルが豊富な水は柔らかく澄み渡り、島民はこの森の恵みを飲料水として、生活の糧として活用してきました。稲作、酪農、ワイン造りはこうした豊かな森により発達しました。

とはいえ、奥尻島といえば、ウニやイカ、アワビなどの海産物が思い浮かびます。また、離島のため熊や毒ヘビがいないため、山菜なども安全に採ることができ、食資源の宝庫なのです。

島の見どころと言えるかどうか微妙ですが、島の至るところで、ウニの殻が落ちています。奥尻町観光課の人に聞いたところ、カモメが海からウニを捕まえて、道路に落として割って食べているのだそうです。なんてグルメなカモメなのでしょう。ウニ食べ放題のカモメなんて聞いたことありません。

道端のウニの残骸。至るところで見ることができます。

カモメに負けるわけにはいきません。今回の旅の一つの目的は、島にいる間にどれだけウニを食べるかの挑戦なのですから。ということで、島民の方から支持の高い食事処「潮騒」にお邪魔しました。

メニューは、焼きそばから生姜焼き定食、ラーメンまで。ファミレスのようなラインアップでしたがそのなかでも、目に飛び込んできたのは、ウニ丼定食2500円。

ご飯との比率が5対1くらいの、白米がほぼ見えないウニ丼のほかにイカ刺し、焼き魚、つぶ貝や小鉢と盛りだくさん。ウニはまったく臭みがなく、持って帰って妻と娘に食べさせたいほどの美味しさ!! もう、目的が達成したというくらいの満足できる定食でした。

街の至るところで見られるのはウニの貝殻だけではありません。島のキャラクターである「うにまる」。2001年にデビューした「うにまる」はまさにご当地キャラの先駆け。観光シーズンには10年以上毎日フェリーターミナルで観光客を出迎えている徹底した現場主義なのだそうです。

交通安全の旗にも

そのご当地キャラの「うにまる」は、島の名産であるキタムラサキウニをモチーフにしたモニュメントが元になったそうです。夜には120本のトゲが美しく光り、奥尻島の夜景を彩るそうです。

極まれに、トゲが落ちることもあるそうです。トゲの中にはさりげなく、避雷針があります!

ウニで、ある意味お腹いっぱいになったところで、奥尻島のシンボルである奇石「鍋釣岩」を見に行きます。島の殆どが森に囲まれている奥尻島の主要道路は、沿岸部の海沿いにあります。フェリー発着場がある奥尻町の近くにその奇石を見ることができます。自然に形成されたドーナツ型の岩は、鍋の弦に似ていることからその名がついたそうです。まあ、見たままです。高さは約20メートル。周囲は約100メートルに及び、写真で見るよりもはるかに大きいものでした。周囲の海は海底まで見えるくらい透明度が高く、オクシリブルーと言われるキレイな海とのコントラストに一瞬息を止められるくらいの迫力でした。

期間限定ですが、夏にはシーカヤックやSUPで鍋釣岩の近くまでいけるそうです。相当レアな体験ですね。

こうした奇石は島で他にも多く見ることができます。奥尻町の反対側にはホヤ岩、カブト岩、カムイ岩などあり、ドライブ中も飽きることがありません(ただし、鍋釣岩以外は道沿いに案内などがないので、これはと思ったときに止まって写真を撮りましょう!)。

ホヤ岩(多分)
名前がわからない岩から見える無縁岩(多分)。名前のわからない岩は、まるでゴリラの横顔。

そんなこんなで、車であれば島1周は、余裕で1日で敢行できます。ドライブの後の楽しみは宿でのお食事。今回は、島でも美味しい食事が取れると評判の「御宿きくち」さんにお世話になります。厚いおもてなしが名物の女将さんのトークも楽しく、晩御飯への期待が高まります。

>>奥尻島といえば「ウニ鍋」! 絶品、本場のウニ鍋とは ~後半へ続く~

撮影・文/レアニッポン編集部

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