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【岩手・陸前高田】釣りアンバサダーが育てている「海中熟成酒」知ってる?

【岩手・陸前高田】釣りアンバサダーが育てている「海中熟成酒」知ってる?

釣りアンバサダー 中川めぐみさん。実は今、海中でお酒を熟成させているんです

お酒のロゴがヱビス様

全国の海を飛び回り、魚を中心にさまざまな海産物を獲ってきた釣りアンバサダー。そんな私が、ある海で「育てている」ものがあります。それは“お酒”。

肉や魚で“熟成”がブームになっていますが、実は今「お酒を海中で熟成させる」という新たな波がやってきているのです。これまでにも酒蔵や地下室で眠らせたお酒で、○年物……とプレミアム感を出すケースはありましたが、それを“海中”で行う事例はまだまだ多くありません。

しかし海中は、酒蔵で眠らせる10倍もの速度で熟成を進めることができるといわれ、波によってアルコール分子を水の分子に包み込ませることで、まろやかに仕上がる作用もあるそう。

果たして本当に変化はあるのか、ぜひこの舌で、喉で味わってみたい!ということで、岩手県陸前高田市まで行ってきました。

海が見える丘に葡萄園がある

2018年10月某日。訪れたのは、陸前高田で明治時代から続く「神田葡萄園(かんだぶどうえん)」さん。こちらが協力している「海中熟成酒の体験会(不定期)」では、myボトルを海に沈め、熟成させた後に回収して飲むことができます。

潮風に強く、海産物に合う品種のぶどうを研究中

海の街で造られたワインを、さらに海中で熟成させたら……。それはそれは、海産物とのマリアージュがたまらない一本になりそう!

まずは、海に沈めるmyボトルの準備を

蝋をまんべんなく垂らすのが難しい

熟成にかかる時間は3か月ほどから。今回は半年を目安に熟成させることになり、その間、海中にあってもコルクが傷んだり隙間から海水が入ったりしないよう、テープと蝋(ろう)でしっかり封をします。

世界に1つだけのmyボトルと記念写真

そして自分のものとわかるように、半年後の自分へのメッセージを書いてボトルに固定。これでmyボトルの準備完了です。

テープと蝋は好きな色が選べました。並べるとカラフル

myボトルを持って港へ。牡蠣などの海産物を育てている漁師さんに全員のボトルを預け、ケースにしっかり固定してもらいます。まれに波の影響や、海中で何かにぶつかるなどしてボトルの一部がなくなってしまうことがあるそうで、無事の再会を祈ります。

陸前高田の美しい夕焼け。海に浮かぶのが牡蠣イカダ

ワインを海に沈め、海中熟成の旅へ

準備ができたらケースを船に積み込み、船で10分ほどの牡蠣イカダ(養殖場)までクルージング。陸前高田の養殖地帯は比較的波が穏やかで、お酒の熟成にも適した場所だそう。

クレーンを器用に操る牡蠣漁師さん
牡蠣と同じくらいの深さまでワインを沈めます

イカダに到着したら、船のクレーンでケースを持ち上げます。そして牡蠣イカダにケースのロープを縛りつけ、ゆっくりとボトルたちを海の中へ。「行ってらっしゃい」と思わずみんなで声をかけます。果たして半年後、どんな姿を私たちの前に見せてくれるのでしょう。

そう思っていたら漁師さんが「熟成をはじめて3か月のボトルがこのイカダに掛かっているのですが、ご覧になりますか?」と。お願いすると、近くにあったロープをつかみ、スルスルと手繰り寄せます(漁師さんが力持ちなだけで、実際はめちゃくちゃ重い……)。

迫力を増して帰還してきたボトルたち。海賊映画を思い出します

まるで難破船のように、フジツボや海藻がべったり付いたボトルたちが! これで3か月!? 半年後のmyボトルは、いったいどんな姿になっているのでしょう……。

日本酒熟成のBeforeとAfter

ちなみに熟成酒はワインだけでなく、日本酒でも行っています。この日の晩に地元の日本酒を、“そのまま”と“半年熟成”で飲み比べさせてもらいましたが、香りも味わいもまったく別ものでした。熟成前のものはキレがありスッキリした飲み口でしたが、海中で熟成されたものは芳醇でまろやか。全体的に丸みを帯びていました。教えてもらわなければ、同じ日本酒だとわからないほど変化していて、半年後のmyボトルがどんな味わいになるのか、ますます楽しみになりました。

陸前高田の豊かな海はさまざまな海産物を育んでいますが、今後はこの土地で生まれたお酒も一緒に育んでいくそう。同じ海の恵みを受けた海産物とお酒は、きっと他にはないハーモニーを生み出してくれるはず。

Myボトルを引き揚げる2019年の春が、今から待ち遠しくて仕方ありません。

●神田葡萄園
URL:http://0192-55-2222.jp/

撮影・取材・文/中川めぐみ
釣りアンバサダー 兼 ツッテ編集長。釣りを通して感じられる日本全国の地域の魅力(食、景観、人、文化など)を発見・発信するため、メディア「ツッテ」の運営や、初心者向けの釣りイベントを実施。自ら全国の港を飛び回っており、2018年は100地域での釣り旅を計画。レアニッポンでは全国の港町で見つけた地域や海にまつわるおもしろいものをお伝えしていきます。https://tsutte.jp

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