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【岐阜・多治見】第3の陶芸!?を表現するチーム「3RD CERAMICS」

【岐阜・多治見】第3の陶芸!?を表現するチーム「3RD CERAMICS」

岐阜県多治見市は、陶芸作家からメーカーまで、さまざまな形で窯業に携わる人々が集まる地です。その多治見で、チームで活動しているのが「3RD CERAMICS (サードセラミックス)」。

3RD CERAMICSは、代表であり、マネージメント・営業・経理を担当している花山和也(はなやま かずや)さん、製造を担当する長屋 有(ながや ゆう)さん、土井武史(どい たけし)さんという同世代の3人で構成されています。

工房の風景。近くに相談できる作り手がいるのが、チームのいいところ(写真左が長屋さん、右が土井さん)

メーカーから陶芸家まで、窯業の幅が広い。多治見ならではの可能性とは?

彼らが多治見で活動をはじめたきっかけ、そして3RD CERAMICSの立ち上げについてうかがいました。チーム唯一の関西出身者である土井さんにとって、多治見の窯業は“可能性”に満ちたものだったといいます。「高校、大学と、関西で陶芸の勉強をしていたのですが、関西では陶芸の大学というとアート系の大学が多いんです。僕が大学生だった2010年頃、多治見は器を作って生計を立てている若手作家を多く輩出していて、関西とは全然違う!という印象を受けました。陶芸の“アート”の部分しか知らないことが、自分にとっての“恐れ”へと繋がり、多治見の作家さんに話をうかがったことを機に、多治見にある陶芸の専門学校「多治見市陶磁器意匠研究所」への進学を決めました」(土井さん)

3RD CERAMICSで製造を担当している長屋さんと土井さんは、それぞれ土を用いてオブジェなどの造形物を製作する作家・アーティストであり、陶器メーカーに勤めていた経験も持っています。

「(多治見市陶磁器意匠研究所を卒業後)多治見の陶器メーカーに勤めていたとき、メーカー社員であり作家でもある自分がよいと感じる部分を生かしつつ、もっと身近な、顔の見える人たちの器も作っていきたいと思ったんです。その時に、作家として活動していた長屋と話す機会があり、考えている方向性が近いと感じました」(土井さん)

土井さん、長屋さんの2人に、窯業に興味を抱き多治見を訪れていた花山さんが加わり、2014年「3RD CERAMICS」が立ち上がりました。コンセプトは「“第3の陶芸”のあり方を模索する」

土井さんは、メーカー勤務の経験から量産のためのノウハウを導き出す。長屋さんは、陶芸作家として魅力的な形を生み出すなど、それぞれのよさ、力を合わせて製品に落としこむことで、“第3の陶芸”のあり方を模索しています。以前は“鋳込み作業(型に液状の粘土を流しこむ)”で製作していましたが、現在は、多くを“ろくろ作業”で行い、オリジナリティを感じる製品を多くの人に届けています。

陶器のランプシェード。有機的な形とカラフルな色合いが印象的

製品のテーマは、「気づきのあるくらし」

3RD CERAMICSは、土の風合いを感じる製品を、日常に届けることを目指しています。「器を製作する上で大切にしているのは、陶芸家がデザインした焼きものであるということ。焼成後の土の表情や質感などは、普段から陶芸に携わっていないと気づけないポイント。例えば黒泥の皿は、リムの内側のエッジを手で処理しないとシャキッとしない。図面では見えてこない部分を、製品へきちんと落としこみたいと考えています」(長屋さん)

土井さんが製作した黒泥のプレートとマグカップ。釉垂(ゆうだ)れが、余白の美しさを引き立てます。プレートのサイズは、飲食店で使いやすいサイズから普段使いまで、幅広く揃います
長屋さん製作のフラワーベース。素焼きの風合いの中に、ツルツルとした質感が混在していて面白い
工房の2階には完成した製品が並び、手に取って見ることもできます(要予約)

3RD CERAMICSが考える「ものつくり」

チームで作っていると聞くと、作業を分担して、分業で1つの製品を作っているイメージですが、どうやら3RD CERAMICSは違うようです。「製造の2人が、それぞれのアイテムを担当しています。3RD CERAMICSの製品はろくろで作ることが多いのですが、ろくろ作業は自分の目の前ですべてが完結するので、ここに他人の入る余地はないように思います。釉薬(ゆうやく)をかける作業を分担するくらいです」(花山さん)

ろくろでの製作風景
多治見の窯屋さんに特注でオーダーした電気窯。空間の寸法に合わせて作ってくれるそう

チームに、作り手ではないスタッフが携わっていることも3RD CERAMICSならでは。花山さんは、マネージメント・営業・経理を担当しています。「作り手ではないので『チームをディレクションしているのですか?』『製品のコンセプトを決めているのですか?』などと聞かれますが、そんなことはありません。2人の作るものを信頼していますし、尊重しています。その製品をどう販売したらいいか、営業や経理を担当することが、自分の中では“ものを作っている”ことなんです。製造の部分だけでなく、もっと広く“ものつくり”を考えると、そういった領域まで含まれると思うんです」(花山さん)

工房の2階でデスクワークをこなす花山さん

多治見の町を楽しみながら、3RD CERAMICSの製品に出合えるイベント

3RD CERAMICSの製品は、彼らのウェブサイトへ問い合わせて直接購入することができますが、2019年4月13日(土)~14日(日)に開催される「たじみ陶器まつり/たじみ陶器まつり西通り」では、彼らの製品を実際に手に取って見ることができます。

「たじみ陶器まつり」は、多治見で70回以上続く歴史ある陶器市。陶器の仲卸商社が多く出店するマーケットですが、その中の1つの通りで開催される「たじみ陶器まつり西通り」には、多治見にゆかりのある作家が出店します。3RD CERAMICSは、数年前からこの「たじみ陶器まつり西通り」に、実行委員として携わっています。以前は「多治見クリエーターズ・マーケット」という名称でしたが、たじみ陶器まつりとは別のイベントという印象を払拭したかったこと、陶器まつり全体を楽しんでもらいたかったことから、現在の「たじみ陶器まつり西通り」へと名称変更したそう。

2017年「たじみ陶器まつり西通り」の様子

東海地方には多くの窯場が集まっていますが、なかでも多治見は、3RD CERAMICSをはじめ若手陶芸作家の活気がより感じられる地域。新しい感覚の作家や器に出合えるイベント「たじみ陶器まつり西通り」へ、ぜひ足を運んでみてください。

●たじみ陶器まつり/たじみ陶器まつり西通り
開催日:2019年4月13日(土)・14日(日)
開催場所:岐阜県多治見市新町2丁目 銀座商店街アーケード(たじみ陶器まつり西通り)
詳細はウェブサイトをご覧ください。
URL:https://nishidohri.webnode.jp

●3RD CERAMICS ウェブサイト
URL:http://3rd-ceramics.com

取材・文/岡松愛子
1986年生まれ、愛知県出身。2018年より写真家として活動
URL:http://okamatsuaiko.com

※一部写真は取材者提供

編集/くらしさ

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