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【飛騨高山】民藝と本と暮らしの店「やわい屋」で【令和】を考える

【飛騨高山】民藝と本と暮らしの店「やわい屋」で【令和】を考える

飛騨高山の山奥、国府町にある、民藝と古本と暮らしの道具店「やわい屋」を訪ねてきました。モノを愛し、日々の暮らしを大切にし、ニッポンを生きる僕らが惹かれてやまない、やわい屋の暮らしと商い。レアニッポン的”男子旅のデスティネーション”、またひとつ見つけました。

3月、名残の(ドカ)雪に包まれた「やわい屋」

特別なことより、平凡な日々に惹かれ、家族でほがらかな毎日を営むために、山間の集落に築150年の古民家を移築して日本各地の作り手の元を訪ね、選んだ品を持ち帰り並べる。そんな、どこにでもあるお店です。

ぼくらがこの場所で暮らし、毎日使いたいと思った器や道具を並べています。民藝店・工藝店・セレクトショップ。呼び名はみなさまにお任せします。

ぼくらはぼくらが心惹かれるものを並べて、今日もみなさまのお越しをお待ちしております。

~「やわい屋」ウェブサイトより~

「やわい屋」店主、朝倉圭一さん。岐阜県高山市出身。県外で会社員生活を過ごし、高山に戻る。2016年「やわい屋」オープン、2017年には2階の屋根裏部屋に古本を扱う「やわい屋書店」をオープン。新元号「令和」が発表された4月1日、「やわい屋」はオープン3周年を迎えた

これって、ある意味、男子が憧れる「夢の暮らし」!?

”やわう”とは、”準備する、支度する”という意味をもつ飛騨の方言。移築した築150年の古民家にご夫婦で暮らし、民藝と古本と暮らしの道具店を営む「やわい屋」店主の朝倉圭一さん。店内に並ぶのは、朝倉さんが作り手のもとを訪れ、惚れこんだ品々。朝倉さんの日々も彩る、飛騨高山の暮らしに寄り添う器や暮らしの道具です。

大量生産、大量消費の時代の中で、ここでしか出合えない1点ものの魅力を求めて、やわい屋には県内外から人が訪れます。やわい屋を始める際、朝倉さんは、高山でできる暮らしと仕事のあり方を突き詰めて考えたといいます。そんなときに出合ったのが「民藝」。モノ作りの地、飛騨高山だからこそ発信する意味をもつ、職住一体の店。商店街にある商店のような、あるいは民宿のような、暮らしと仕事の境目が(いい意味で)曖昧な店。そこはかとなく、暮らしの気配を感じる店。そんな心地よさが、やわい屋にはあります。好きなモノに囲まれて、好きな人たちとともに、心地よく暮らし、仕事をする……これって、ある意味男子の憧れのライフスタイルじゃないですか!?

齊藤十郎さん(静岡)、「瀬戸本業窯」(愛知県)、高桑英隆さん「お花畠窯」(富山県)、前野直史さん「生畑皿山窯」(京都府)、山口和声さん(三重県)、大久保公太郎さん「大久保ハウス木工舎」(長野県)、小島優さん(兵庫県)、小島鉄平さん(長崎県)、宮入圭太さん(東京都)など。朝倉さんは、作り手との関わりを大切にして、品々を選びます。

高山の作り手「奥井木工舎」奥井京介さんの「有道しゃくし(飯しゃもじ)」
有道しゃくしを作る過程で出た端材を使って作られる、新しい郷土玩具「雪入道」

>>白洲正子が愛した、暮らしの道具「有道しゃくし」

高山で活動するガラス作家、安土草多さんのランプシェード

本から学べるコト、人から得られるコト

冬の間は雪に閉ざされ、訪れる人も少なくなるやわい屋。冬の間は、どう過ごしているのでしょうか。「本を読んだり、人に会いに行ったり、インプットの時間として過ごしています。僕、今、人生で最も多くの本を読んでいますよ」。郷土史、民俗学、哲学、宗教、人類学、社会学……冬はとくに本を読み、行商も行いながら他県の人にも会いに出かけるそう。朝倉さんにとって本は新しい世界への入り口であり、知識や教養を高め、深めてくれるもの。人との関わりは、”やわう”日々に必要な、感性のチューニングのようなものかもしれません。

屋根裏部屋に潜む「やわい屋書店」へ

それまで町に一軒も古本屋がなかったことから、やわい屋の2階、屋根裏部屋にオープンさせたという「やわい屋書店」。約1000冊の蔵書のほとんどは、人文学・社会学に関するもの。秘密基地のような静かな空間に、店主の人生観が反映された本棚が。「これからの季節、ここはすごく気持ちいいんです。ここに来て、本を読んで、ぼーっとしながら過ごす。地域の、そんな場になってほしかったんです」

静かな空間に、語らずも雄弁なる本が並ぶ

「令和には、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている」

〜安倍晋三首相談話より〜

やわい屋は、おしゃべりな店です。饒舌な店主、語りかけてくるようなモノたち、雄弁な本たち。もはや、ここで多くのことを語る必要はないかもしれません。少しでも心の琴線に響いた方は、やわい屋の言葉に、耳を、心を傾けてみてください。朝倉さんは、今日も店で、ウェブサイトで、SNSで、どこかで誰かと、多くのことを語っていることでしょう。いくつもの時代を超えてきた古民家で過ごした時間は、これからの時代を、日々を、どう”やわい”でいくべきか、僕らに問いかけているようでした。

僕らの「令和」の日々を、じっくりと、楽しんで考えてみたくなりました。

家屋の内外を繋ぎ、居住空間と店舗を繋ぐやわい屋の縁側にて。この縁側での日向ぼっこも、やわい屋ならではのひとときです

●やわい屋
住所:岐阜県高山市国府町宇津江1372-2
TEL:0577-77-9574
営業時間:11時~17時
定休:木・金曜
URL:https://yawaiya.amebaownd.com/

撮影/赤石 仁 取材・文/レアニッポン編集部

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