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【酢飯屋・岡田大介さん】魚介類を使わないレアな郷土寿司「箱寿司(角寿司)」【島根・大田】

【酢飯屋・岡田大介さん】魚介類を使わないレアな郷土寿司「箱寿司(角寿司)」【島根・大田】

日本各地には多彩な郷土寿司がありますが、広く知られている寿司はごく一部です。地元でしか知られていないそんなレアな寿司に光を当てるべく、寿司職人・岡田大介さんが郷土寿司の伝道師となってレポートします。


縁あって足しげく訪れている島根県大田(おおだ)市には、古くからつくり継がれてきた郷土寿司「箱寿司」があります。「角寿司」と呼ばれるこのお寿司は、1升、2升などの角形の木箱に酢飯や甘辛く煮た具(にんじん、しいたけ、れんこん、かんぴょうなど)、錦糸卵を薄い板を挟みながら数段積み重ねて押し、切り分けたもの。スーパーの惣菜売り場などにも当たり前のように並んでいることから、大田では、ごくなじみ深い存在と見受けられます。

同様に酢飯や具を箱に重ねる押寿司は全国各地に点在していますが、「箱寿司」の特徴は、酢飯と酢飯の間に具を挟むところ、そして、具に魚介類を用いない素朴な仕立てにあるようです。ちなみに大田では、箱寿司をつくることを”漬ける”というそう。

箱寿司を漬ける箱。今回の訪問でお世話になった市役所の方が、ご自宅から持参してくださいました。使い込まれて、いい味出ています
道の駅「ロード銀山」の箱寿司。ここのレストランの定食でもいただけるそうです

さて、今回大田市を訪問した目的の一つが、大田の人々にとって、箱寿司がどのような存在なのかを知ることでした。行く先々で箱寿司談義を重ねたことで顕著に見えてきたのは、「若い人たちは箱寿司をつくらない」ということでした。

まず、酢飯をつくり、具材を細かく刻んで煮て、錦糸卵をつくり、箱に重ね……と手間ひまのかかる料理だということ。もう一点は、一度にたくさんできちゃうということ! ここ大田でも、昔のような大家族が少なくなっている上に、たっぷりつくった料理を親戚、隣り近所などに配る、いわゆる「お裾分け」の風習がめっきり見られなくなっているといいます。少々、さびしい話ではあるのですが、確かに3人、4人の家庭で1升の寿司はつくらないだろうなあ、と納得も。

そこで、この箱寿司を家庭でもっと気軽に、楽しんでつくってもらえないものか考えてみました。次回記事では、大田市の食育ボランティアの方々に提案させていただいた、新しい箱寿司についてお伝えします!


岡田大介 1979年 2月2日生まれ。寿司職人歴22年目。東京都文京区・江戸川橋駅近くにて完全紹介・予約制の寿司屋「酢飯屋(すめしや)」を営む。また、日本各地の郷土寿司を習い、継承することをライフワークとしている。 撮影:reiko masutani

酢飯屋
URL:http://www.sumeshiya.com/

※この記事は「酢飯屋」ブログの記事を再構成しています

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