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酢飯屋・岡田大介さんが提案する、新しい「箱寿司」の作りかたとは?【島根・大田】

酢飯屋・岡田大介さんが提案する、新しい「箱寿司」の作りかたとは?【島根・大田】

島根県大田(おおだ)市を訪れた寿司職人・岡田大介さんは、日常的に作られなくなってきている郷土寿司「箱寿司」をもっと気軽に楽しんでもらうべく、大田市の食育ボランティアの方々に新しい「箱寿司」を提案します。いったいどんな提案だったのでしょうか。


大田の郷土寿司「箱寿司」を自らつくってみて感じたのは、一般の家庭では、1升や2升の箱寿司、いわば巨大な寿司のミルフィーユを切り分ける作業が非常にやっかいだ、ということでした。前回記事で触れたとおり、かつて地元で愛されてきた箱寿司が若い世代で作られなくなってきていますが、手間がかかる上に少人数家族で食べ切るには量が多すぎるというあたりにその理由がありそうです。

大田の若手世代や現役子育て世代の間に箱寿司づくりの風習がよみがえるよう、箱寿司をより手軽で、遊び心のあるものにしたい……。そこで考えました。箱寿司の箱の中に、仕切りをつくってしまおう!

仕切りは、100円ショップ等でも売られている薄いプラスチック製まな板を短冊状に切り、組んだもの。切り込みを入れ、切り込みと切り込みを噛み合わせることで枠にしています。これを箱の中に立てて枠に酢飯を詰め、上から軽く押して四角く成形。その上に具、酢飯を重ね、また軽く押し(具がサンドされる格好)、トッピング。これで1段目の完成です。

板を1枚挟み、その上に、同様に2段目を仕込みます。

2段分を仕込んだら、いよいよお披露目。箱の外枠を慎重に引き上げて外し、2段に分け、プラスチック板の仕切りをそっと引き抜けば、色とりどり、味もとりどりの箱寿司の完成です。

このように、箱寿司に仕切りをつくった理由は3つあります。一つは巨大な寿司を包丁で切り分けるという、テクニックを要する作業を簡略化するため。もう一つは、仕切りの高さがある分、トッピングが直に押されず表面が美しく仕上がるからです。そして何よりの理由は、酢飯、具、トッピングの組み合わせの妙を、仕切られた枠ごとに楽しんでもらえること!

この日は、酢飯だけで3種類を用意していました。ベーシックな酢飯をつくって3等分し、そのうち2つに、
・大田の名産品、のどぐろの干物を焼いてほぐしたもの
・大田の郷土料理「へか焼き(魚介のすき焼き)」の残りの具を細かく刻んだもの
を混ぜ込んだのです。

一方、具やトッピングの材料として取りそろえたのは……

・きゅうり
・れんこん(酢を加えてゆでたもの)
・青じそ
・梅肉
・いか(ゆでてから、しょうゆ味で煮たもの)
・いかの塩辛
・かまぼこ
・錦糸卵
・ごま
・焼きのり

など、いずれも家庭に買いおきされていそうなラインアップ。これらを、酢飯との相性、食感や色の取り合わせを工夫しながら好き好きに枠に詰めていきます。これなら、子どもたちも遊び感覚で手伝ってくれそうですし、おもてなしのごはん会なら、ああだこうだと言いながら、皆に仕込みに加わってもらうのも手。枠に番号をふり、自分がどの味に当たるかはくじ引き後のお楽しみ……なんていうパーティー感覚の演出も可能です。

箱寿司本来のダイナミックさを生かしつつ、飽きさせない変化、にぎやかなイベント要素を加味した『岡田箱寿司』。実家の箱寿司から離れて久しい大田の若手世代が「うちでもつくってみようか」と思い立つような、一つのきっかけとなればと願っています。


岡田大介 1979年 2月2日生まれ。寿司職人歴22年目。東京都文京区・江戸川橋駅近くにて完全紹介・予約制の寿司屋「酢飯屋(すめしや)」を営む。また、日本各地の郷土寿司を習い、継承することをライフワークとしている。 撮影:reiko masutani

酢飯屋
URL:http://www.sumeshiya.com/

※この記事は「酢飯屋」ブログの記事を再構成しています

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