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多くのビールファンを魅了し続ける「志賀高原ビール」こだわりの6選

多くのビールファンを魅了し続ける「志賀高原ビール」こだわりの6選

この記事は、特集・連載「全国から厳選!クラフトビール特集」長野編 Vol.1です。

ホップの強烈な香りと苦味、そして高いアルコール度数がクセになるIPA(インディア・ペールエール)。クラフトビールブームを牽引する人気カテゴリーのひとつです。ピルスナーやヴァイツェンなどが一般的だった時代にIPAの醸造をいち早く始め、個性的なビール造りで高い知名度を誇る「志賀高原ビール」。限定販売のビールも多く、いずれも即完売の人気を博します。そんなブルワリーの醸造責任者・佐藤栄吾さんに、この夏おすすめの定番ビールと限定ビールをそれぞれ3種類ずつセレクトしていただきました。

志賀高原ビールのブルーマスター、佐藤栄吾さん
志賀高原ビールといえば「IPA」!

まずは定番クラフトビール3選から。
1つ目は、絶大な人気を誇る看板商品「IPA」。こちらは、志賀高原ビールのコンセプトでもある「自分たちの飲みたいビール」の代表格。強烈なホップの個性をしっかりとしたモルトのボディが受け止め、圧倒的な香りと爽快感があります。ホップの苦さと旨さの両方が楽しめるパンチのある味わいに、クセになる人が続出しています。

なお、「IPA」とは18世紀末、イギリスから植民地のインドにペールエールを送る際、海上輸送中に傷まないよう麦汁濃度を高くしホップを大量に投入することで誕生したビールで、近年は世界中で大人気のビアスタイルです。

IPA 330ml 382円(税込)
準定番「其の十/No.10 Anniversary IPA」

2つ目は、志賀高原ビール醸造開始10周年を記念して造られた「其の十」。アルコール度数7.5%と強めのインペリアルIPAですが、酒米の使用もあって度数を感じずにスルスルと飲めます。グレープフルーツのような風味の後に苦味が感じられ、和食に合うビールとしてもおすすめ。当初は限定販売でしたが、好評につき、現在は準定番商品となっています。

其の十 330ml 463円(税込)
ベルジャンスタイル「山伏・壱・saison one(セゾンワン)」

3つ目は、「山伏・壱・saison one」。「山伏」は、ベルギービールにインスパイアされつつも独自の味を追求し、修道僧(山伏)にも負けないオリジナルビールを目指すシリーズです。山伏・壱・saison oneはその第1弾で、自家栽培のホップ「信州早生」をふんだんに使用し、同じく自家栽培の酒米「美山錦」を使ってベルジャンイーストを効かせた爽快な味わいの無濾過・非熱処理、瓶内二次発酵のビールです。セゾンタイプの心地よさも感じられます。

山伏・壱・saison one 750ml 1,234円(税込)

なお、「ビールを造る前には、徹底的に考えて準備している」と話す佐藤さん。だからこそ、たとえ定番ビールでも毎回仕込む前に考え、常に微調整を加えているのだそう。「大手メーカーではなく、工業製品を造っているわけでもないからこそできること」と語ります。つまり、定番といえども変化があり、ある意味では“その時の最高”を求めた限定ビールとも言えます。

15周年記念「一切皆苦 “IPA for a Beautiful Day”」

続いて限定3種をご紹介。
1つ目の「一切皆苦」は、醸造開始15周年を迎える今年、2019年の記念に造られたIPA。志賀高原ビールのどのビールよりも贅沢にホップを使った「最良の食中酒」です。現時点で「自分たちで食事中に飲みたいIPA」と思う味わいの提案だそうで、柑橘系とトロピカルな個性を感じる新鮮な香りとほのかな甘味、フルーティな味わいからは、IPAのスタイルのなかでも近年話題のヘイジーな(濁ったスタイルの)特徴も感じられます。その上、しっかりと苦味もあって、クリアでドライな口当たりです。

ちなみに、最近はこうした濁りのあるIPAが世界的にブームですが、志賀高原ビールは国内でいち早く醸造を始めたところ話題となり、さまざまなバリエーションが生まれているとのこと。海外で流行り始めていた、アルコール度数を下げたクイックイッと飲めるセッションIPAを、日本で造り始めたのも志賀高原ビールです。

一切皆苦 330ml 463円(税込)

なお、「一切皆苦」とは仏教の基本理念のひとつで、人生は思いどおりにならないということだそう。

「仕込みをしていると、バルブが壊れたり詰まったりとストレスが溜まることがありますが、そんなときも『一切皆苦』だと思えば意外とつらくないものです。ホップの効いたビールも苦いイメージがありますが、その苦味を受け入れた先にホップの香りが楽しめます。15周年にはそんなネーミングのビールがぴったりだと思い、さらにちょうどそのときに聞いていた『Beautiful Day』という曲が耳に残っていたので、苦しみの先に光が差すように、飲んで気分がよくなってくれたらいいなと“IPA for a Beautiful Day”という言葉を添えました」と佐藤さん。

ちなみにファーストバッチは即完売してしまいましたが、今年は何度もリリース予定だそう。すでに5仕込みをしているそうで、やはり毎回少しずつ味わいを微調整しているそうです。

イベント限定から発展「SNOW MONKEY IPA」

2つ目は、自社企画のイベント用に造られた「SNOW MONKEY IPA」。「SNOW MONKEY(スノーモンキー)」とは、志賀高原の地獄谷温泉で冬場に温泉に浸かるニホンザルの愛称。気持ちよさそうな姿が話題を集め、いまや国内外から観光客が訪れる一大人気スポットです。志賀高原ビールでは、そんな名前を冠した音楽とクラフトビールのイベント「SNOW MONKEY BEER LIVE(スノーモンキービアライブ)」を毎年3月に企画。毎回「SNOW MONKEY IPA」は会場の一番人気ですが、最近では7月末に新潟県苗場スキー場で開催される野外音楽フェス「FUJI ROCK FESTIVAL」の出店に合わせた“FUJI ROCK ver.”も造られたりと、展開が広がっています。

スタイルは、近年世界的にブームのヘイジーなニューイングランドIPA。オレンジがかったインパクトのある見た目に、贅沢にホップを使った柑橘系の飲み口で、ジューシー感がありながらも甘さ控えめでドライな口当たり。しっかりと苦味も感じられます。

SNOW MONKEY IPA 330ml 463円(税込)
OXBOWとのコラボ「木樽熟成 山伏/ore no sake ga no me ne no ka」

3つ目は、アメリカ・メイン州のブルワリー「OXBOW」とのコラボで生まれた「木樽熟成 山伏/ore no sake ga no me ne no ka」。積極的にほかのブルワリーやメーカーとのコラボレーションも行っている志賀高原ビールですが、こちらは自家栽培の大麦・小麦・蕎麦を使った樽熟成の特別なビールで、思い入れも強い一本です。通常、木樽で熟成させる場合は、いったんビールを造ってから木樽で二次発酵・熟成をさせますが、こちらは仕込んだその日のうちにウイスキー樽へ。約7〜8か月の熟成後、さらにワイン樽で1年間熟成させ、瓶内発酵とさらに1年の熟成を経てようやくリリースされました。

濃いめの琥珀色で、志賀高原ビールのなかではもっとも酸味が強く、野生酵母と微生物由来の香り、ウイスキーとワインの樽の影響による複雑な味わい。アルコール度数9%と高めながら飲み口はドライで、しっかりしたボディときれいな酸のバランスが感じられる渾身のビールです。

木樽熟成 山伏 750ml 2,916円(税込)

ちなみに、ウイスキー樽の香りを和らげるために、仕込みの4か月前に一度樽の中にビールを入れたそうですが、そこで生まれたのが「 一石三鳥」というビール。ユニークなアイデアからも、どんどん限定商品が生まれています。

なお、近年は木樽で長年熟成させた酸味の強いビールが世界で多く見られますが、日本ではあまり造られていません。そうしたスタイルに挑戦する志賀高原ビールの原動力は、根底に流れている「おもしろいことをやろう」という姿勢です。

また、ネーミングがユニークなのも志賀高原ビールの特徴。「ore no sake ga no me ne no ka (俺の酒が飲めねえのか)」という商品名の由来は、仕込みの前日までさかのぼります。その日は「SNOW MONKEY BEER LIVE 2016」の打ち上げで、「OXBOW」のブルワー・Timと志賀高原ビールの従業員がお酌合戦となり、「俺の酒が飲めねえのか」なんて言っていたことから決まったのだとか。

「あまり格好いい名前をつけるよりも、ちゃんと意味があっておもしろがってもらえるものにしたいと、毎回ものすごく考えています」と佐藤さん。

ほかにも、最近ではアメリカ・ポートランドの「Upright Brewing」やカリフォルニアの大人気ブルワリー「PIZZA PORT BREWING」とのコラボビールが続々登場

さらに、夏は生の菖蒲(しょうぶ)の根っこをスパイスとして使った、年に一度リリースされる特別なビール「“SHOUBU” no Miyama Blonde」(330ml 382円税込)などの限定品も登場しています。

こうした新製品の案内や情報発信は、佐藤さんが13年間一日も欠かさずに続けているブログ「ゆるブル」が中心。それがメディアになっているのも、志賀高原ビールのおもしろさです。

定番から限定品まで、まずは一度、個性豊かな味わいを楽しんでみませんか。


志賀高原ビール(株式会社玉村本店)
住所:長野県下高井郡山ノ内町平穏1163
TEL:0269-33-2155
定休日:年中無休(元日のみ休み)
営業時間:9:00~18:00
URL:http://tamamura-honten.co.jp/

取材・文/島田浩美
長野県出身・在住。大学時代に読んだ沢木耕太郎著『深夜特急』にわかりやすく影響を受け、卒業後2年間の海外放浪生活を送る。帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に編集兼デザイン事務所「合同会社ch.(チャンネル)」を設立、「旅とアート」がテーマの書店「ch.books」をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。

撮影/青木 圭
編集/くらしさ

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