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スイカにデコポン…!? 熊本の農産物をクラフトビールに進化させるブルワリー「KAEN」

スイカにデコポン…!? 熊本の農産物をクラフトビールに進化させるブルワリー「KAEN」

この記事は、特集・連載「全国から厳選!クラフトビール特集」熊本編 Vol.1です。

熊本市の、とあるダイニングレストランに、マイクロブルワリーが登場しました。しかも、ただクラフトビールを造るだけではなく、「スイカ」「デコポン」「晩白柚(ばんぺいゆ)」「リコリス」など、ほかでは見ないラインナップのビールが造られているとか…。熊本の飲食業界はもちろん、農業分野や自治体からも注目を浴びている小さなブルワリー「BREWERY KAEN(ブルワリー カエン)」を訪れました。

醸造所を眺めながら、出来立てクラフトビールを堪能できる
熊本市東区にある「BREWERY KAEN」

熊本市の中心市街地から車で約20分の場所にある「KAEN」。世界のクラフトビールとそれに合う料理を提供するビアホールだった同店の中に、2018年2月に小さなビール醸造所「ダイヤモンドブルーイング」が登場しました。同時に「BREWERY KAEN」として、自社醸造ビールを中心にクラフトビールを楽しめるレストランにリニューアルオープン。「個人での醸造所立ち上げ」そして「マイクロブルワリー併設のレストラン」の珍しさが話題となり、熊本のビール党の注目を一気に集める存在になりました。

海外のダイナーのようなカッコいい店内
ソファー席の奥に、ビールの醸造所が見える

こちらで造られるクラフトビールは、「メイド イン クマモト」であることが一番の特徴です。農業県・熊本産を中心に野菜や果物、ハーブなどを添加して、熊本でしか飲めない美味しさを造り出しています。日本での地酒や焼酎のように、欧米では地域ごとに特色あるビールを造る文化があります。オーナー・鍛島(かしま)悠作さんは「そのような文化を取り入れて熊本の特色あるクラフトビールを造り、世界に発信したい」と、情熱的にレシピ開発に取り組んでいます。

店内には、その日飲めるクラフトビールの解説が
醸造所で品質チェックを行うオーナー・鍛島さん

醸造所では1~2週間ごとにビールの仕込み日があり、その度にビールの種類が替わります。そのため何度通ってもその度ごとに新しい味わいに出合えるのが大きな魅力です。旬の果物や野菜を使うことが多いので、ビールの味わいを通して四季が感じられるというのも貴重な経験。鍛島さんもいろいろな農家の方と知り合いながら、その作物に最適なビールのレシピを考案する毎日だそうです。

気になる「メイド イン クマモト」クラフトビールをチェック

取材に伺った6月下旬は、4つのオリジナルクラフトビールがありました。そのうち、熊本県産の果物を使った3つのビールを紹介します。写真左から「シトラスフルーツ ゴーゼ」「マンダリン IPA」「ウォーターメロン ゴーゼ」です。

「シトラスフルーツ ゴーゼ」税込700円(レギュラー)

「シトラスフルーツ ゴーゼ」は、ミカンの名産地として有名な熊本市西区河内町の「弓削瓢柑」とパッションフルーツを添加。ドイツの一部でしか造られていないという「ゴーゼスタイル」(塩を加え、発酵に乳酸菌の力を借りる)で仕上げており、熊本の観光地・天草の塩を使っています。爽やかな香りと酸味と塩気が感じられ、夏に飲みたくなるビールです。

「マンダリン IPA」(レギュラー)700円(税込)

「マンダリン IPA」は、マンダリンオレンジの香りが口いっぱいに広がり、爽やかな芳香です。ホップが強めのWest Coast Style IPAなので、香りのあとにしっかりとした苦味が感じられます。夏にスッキリ飲みたい1杯です。

「ウォーターメロン ゴーゼ」(レギュラー)700円(税込)

「ウォーターメロン ゴーゼ」は、スイカのフレーバーが程よく香ります。熊本県はスイカの生産量が日本一。その中でも、循環型オーガニック農業にこだわる「のはら農研塾」のスイカを使ったこだわりの逸品です。こちらも「ゴーゼスタイル」で、ヨーグルトや柑橘のような爽やかな酸味が、スイカの風味をより引き立てる味わいです。

ほかにも、これまでバンペイユ(八代地方名産の大きな柑橘)やデコポン(宇城市名産の甘味が豊かな柑橘)、リコリス(合志市で栽培されている甘草の一種)、さらに水田ごぼうや和栗など、驚きの素材からも絶妙な味わいのクラフトビールを生み出しています。その意外性とアイデアに触れるだけでも、大きな刺激になりそうです。
※季節ごとにビールの種類が変わります

通はクラフトビールと料理のマッチングを楽しむ

オーナーの鍛島さんが提案したいと語るのが、料理とビールのマッチング。ビールに合わせて食べ物や飲み方を決めるのではなく、食べたいものや気分に合わせて飲むビールを決める、そんな飲み方を楽しんでほしいと語ります。

ビールに合う世界の料理が揃う同店のメニューから、上記で紹介したビールとのマッチングを教えてもらいました。

ニュージーランド産 生オイスター

「シトラスフルーツ ゴーゼ」と合わせたいのが「生オイスター」です。敢えて大ぶりで食べ応えがあるニュージーランド産を仕入れ、オリジナルミニョネットソース、バジルソース、チリソースの3つで楽しめます。爽やかで、酸味のあるビールの風味とピッタリ。

NYスタイル フィッシュ&チップス

「マンダリン IPA」と合わせたいのが、フィッシュ&チップス。イギリスの料理として有名ですが、同店のものはニューヨークスタイルです。本場で使われるキャットフィッシュをIPAビール入り衣で丸ごと揚げていて、衣サクサク、白身フワフワの味わいが特徴。ビールの苦味の強さが、脂をスッキリ流して舌を楽しませてくれます。

鶏モモのコンフィ チミチュリ アルゼンチンソース

「ウォーターメロン ゴーゼ」と合わせたいのは、「鶏モモのコンフィ チミチュリ アルゼンチンソース」。じっくり寝かせて柔らかくなった鶏モモにかかるのは、オリーブオイルと酢に刻んだハーブやニンニクなどが入っているチミチュリソース。肉との相性ピッタリの爽やかなソースの風味と、ゴーゼビールの酸味がしっかりマッチします。

このように、気分や食べたいものに合わせたビールの楽しみ方を提案すると共に、「ビールが多くの人をつなげる共通言語に」との思いを抱く鍛島さん。2019年7月には、熊本中心市街地・下通りに2号店「World Beer Terminal KAEN」をオープンしました(熊本県熊本市中央区下通1-3-1 NADELビル5階 TEL096-288-3434)。

130席ある広い空間は仕事帰りの1杯でも、仲間との飲み会でも、仕事の打ち合わせや休憩所感覚でも使える雰囲気で、新しいスタイルのビアガーデン。「いろんな人が行き交い、いろんな縁が生まれる場にしていきたい」と鍛島さん。その情熱と行動力とで、熊本に唯一無二のクラフトビールを造り続けています。


BREWERY KAEN(ブルワリー カエン)
住所:熊本県熊本市東区長嶺南3-1-102
営業時間:月~木曜 17:00~翌0:00(料理L.O. 23:00 ドリンクL.O. 23:30)
金・土曜・祝前日 15:00~翌1:00(料理L.O. 翌0:00 ドリンクL.O. 翌0:30)
定休日:日曜・祝日
TEL:096-384-0178
URL:https://kaen-kumamoto.owst.jp/

撮影・取材・文/中川千代美
長崎生まれ、熊本在住。地方出版社に勤めたのち、「チヨミ編集事務所」として独立。地域の子育て情報誌や生活情報紙をはじめ、幅広いジャンルの編集・ライティング・企画を手がける。食欲・物欲・お出かけ欲・温泉欲・ビール欲が赴くままに熊本・九州を駆け回る日々。趣味は二胡。

編集/くらしさ

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