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【165km】日本で2番目に距離が長い路線バス「釧路羅臼線」に乗ってみた

【165km】日本で2番目に距離が長い路線バス「釧路羅臼線」に乗ってみた

日本で1番走行距離が長い路線バスは、奈良交通の八木新宮線。近鉄・大和八木駅(奈良県)とJR新宮駅(和歌山県)を結ぶ営業距離は実に166.9km。停留所167カ所と高速道路に乗らない路線では日本一長い路線バスとして、テレビでもよく取り上げられていますよね。では、2番目に長い路線バスはどこでしょうか? それが北海道釧路市と知床・羅臼町、2つの世界遺産の町を結ぶ阿寒バスの釧路羅臼線。営業距離は一歩およばぬ165.2km(往路は164.8km)ながら、バスマニアが一度は乗ってみたい憧れの路線のひとつなのです。

そんな道内最長の路線バスに乗ってみました。今回は、阿寒バスの羅臼営業所から出発して、釧路市にある市立病院前まで行く復路です。

阿寒バス羅臼営業所。手前が釧路羅臼線を走る車両
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朝6時40分。前泊した宿(「羅臼の宿まるみ」)の目の前にバス停があるにもかかわらず、「全行程を乗りつくさねばならない」という無駄な使命感で7kmほど戻りました。領収書をいただくべく、窓口で市立病院前までのバス運賃を先払い。4900円也。よんせんきゅうひゃくえん!

高速バス然とした車内レイアウト。最後部にはおトイレまでございます

始発から乗車したのは筆者だけ。車内は一般的な路線バスのレイアウトではなく、観光バスや高速バスのような4列シートのそれ。運転手さんによると、休憩は一切ないとのこと。これから4時間弱におよぶ長距離移動におのれのニョーイ&ベンイーが耐えられるのかどうか不安でしたが、車内最後部にはトイレがあったのでひと安心です。とはいえ、飲みものや食べものを買う暇も、スマホを充電する設備もないので乗車前にしっかり準備しておかないと詰みます。羅臼営業所だと徒歩10分ほどの、「セイコーマート富士見店」を利用しましょう。

羅臼市街から望む日本百名山の羅臼岳。羅臼側から登ることもできますが、めちゃくちゃ長いのでウトロ側からのアプローチがオススメ

出発するなりバスはオホーツク海を望む海岸線へ。取材日は快晴で対岸に北方領土の国後島がくっきりと見えます。このあたり、5月〜10月頃はマッコウクジラやシャチが集まる海域。羅臼滞在中は温泉や海の幸はもとより、ホエールウォッチング船での観光もオススメです。

北方領土・国後島の羅臼山(羅臼岳じゃありませんよ)をバックに、これから最盛期を迎えるシャケの定置網漁が望めます
元も子もありませんが、釧路羅臼線のハイライトはこの国道244号線といっても過言ではないかも
個人的に標津町のシンボルだと感じている、真っ赤な標津橋(サーモンパークも捨てがたいんですけどね)

美しい海を眺めつつ、時おり山間部に入ってゆくバス。河口付近では、川を遡ろうとするシャケを狙った釣り人たちの姿も。羅臼町を過ぎたあたりからポツポツと学生が乗り込んできます。聞けば近ごろスクールバスが廃止されたため、周辺学生の通学のアシとしても機能しているのだそう。1時間ほど走ったところで標津営業所着。さらにドドドと乗り込んでくる学生たち。ちなみに標津と羅臼を結ぶ国道335号線が整備されるまで、路線バスの移動は倍以上かかったそうで、かつては船で移動したことがある人もいるようです。

標津営業所で続々乗り込んでくる学生

標津町からは国道272号線で内陸に入り、牧場や草原が広がる北海道らしい茫漠とした景色が広がります。バス停も「西4線」「東13条」といった記号的なものが相次ぎます。これはわからん。

中標津バスターミナルで運転手交代。運賃はすでに2390円…

中標津のバスターミナルに着いたのは8時10分。ここから(結果的にわかったことですが)釧路を目指すビジネスマンや旅行者、通院患者が乗り込んできます。学生と一般客で車内は一気に満員風ですが、すぐさま中標津高校で学生たちが降りるため、再びバスはのんびりとしたムードに戻ります。

北海道らしい牧歌的な風景が広がる国道272号線

中標津を過ぎると釧路まで国道272号線をひた走るわけですが、この間で特筆すべきことは……特にありません。北海道らしい車窓の景色がえんえんと広がればまだ良いものの、途中から高速道路のようによく整備された凹地を走るため、それも叶わず。思わず眠気が襲ってきます。しいて見どころを挙げれば、沿道に陸上自衛隊矢臼別演習場があるため自衛隊車両がやたら走っていることでしょうか。

自衛隊車両マニアにはたまらないかも

ふと目が覚めたら10時前。国道272号線も終わり、ここからJR根室本線と並走しながら釧路市街に向かいます。これまで目にしてきた海原や草原を思えば、釧路はビッグシティ。自分も若者ならば、イオンやトライアルの看板にわくわくしたことでしょう。

意外とすんなり釧路駅にとうちゃく〜
国鉄時代をしのばせるJR釧路駅。ここで降りたい…

JR釧路駅には10時20分着。ほとんどの乗客が下車します。本当は次の取材のためここで降りたかったんですが、全線制覇を目指すべく市立病院前までお付き合い。10分ほど走ったところで、ようやくゴール。およそ4時間、164.8kmを乗りきりました。ちなみに釧路発の最終便は17時25分なので、買い物や観光をして日帰りすることも十分可能です。もっとも逆だと羅臼11時5分着の最終便16時50分発なので、やや短いかもしれません。

ゴールの市立病院前。特に感慨はありません
運賃はやっぱり4900円です

そんなこんなで日本で2番目、北海道で1番長い路線バスを乗りきったわけですが、率直な感想を述べると、車両が高速バス然としていたため非常に快適だったものの、長距離路線バスとしての風情や過酷さが希薄だったように思います。マゾなのかしらん。

ちなみに往路・復路どちらかに乗るとすれば、オススメは断然往路(釧路→羅臼)です。なぜならば、前半は北海道らしい内陸部の風景を楽しみつつ、後半は標津からオホーツク海に出て羅臼岳や国後島を眺めることができるから。大都会・釧路から、日本の端っこ・羅臼にたどり着く旅情もたまりませんからね。

往路だと標津からオホーツク海に出る瞬間がハイライト!

釧路羅臼線・釧路標津線
URL:http://www.akanbus.co.jp/localbu/senra.html
※バスの運行時刻や運賃は、2019年9月2日現在のものです。
※土日祝はダイヤが変わります


撮影・取材・文/熊山准(くまやま・じゅん)

リクルート編集職を経て『R25』にてライターデビュー。執筆分野はガジェット、旅、登山、アート、恋愛、インタビュー記事など。同時に自身のゆるキャラ「ミニくまちゃん」を用いた創作活動&動画制作を展開中。ライフワークは夕焼け鑑賞。マレーシア・サバ州観光大賞2015メディア部門最優秀海外記事賞受賞。1974年徳島県生まれ。

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