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【岩手】深まる秋は盛岡へ。レトロな洋館で良質なモノと出合う

【岩手】深まる秋は盛岡へ。レトロな洋館で良質なモノと出合う

岩手県の県庁所在地・盛岡市。城下町の佇まいが残る町に惹かれて、何度も訪れる旅行者も増えているようです。この秋、県内では工芸展やマルシェなどさまざまなイベントが目白押しですが、盛岡市街中心部でも、気になる企画が繰り広げられます。それは、美しい洋館を巡りながら、魅力的なモノたちに触れられる2つの展示販売会です。

賢治も愛した「赤レンガ館」で伝統工芸に触れつつ、町歩きの拠点に!

まずは、盛岡市の中津川沿いに建つ「岩手銀行赤レンガ館」。歴史を紐とけば江戸時代、中津川に架かる中の橋は、藩内に出入りする御用商人や職人が行き来する重要な橋でした。多くの人で賑わう繁華街を、100年以上にわたり見守ってきた「赤レンガ館」は国指定の重要文化財。設計者は、東京駅を手がけた辰野金吾と盛岡出身の葛西萬司の2人です。
かつては銀行として営業していましたが、修復を経て2016年から一般公開。音楽会や演劇などの文化活動に利用されています。

この場所で、今年度開催されているのが「赤レンガ伝統工芸館~IWATE Traditional Crafts Year 2019~」という伝統工芸品の展示会。主催する岩手銀行によれば、「歴史ある洋館を生かし、岩手らしい伝統工芸や手仕事品の数々に触れてもらおう。ここから、岩手らしい文化を発信していきたい」という思いでスタートした企画なのだとか。

6月から11月まで4回シリーズで行われ、すでに「うるし」「かご」のテーマで2回開催されました。これまでの様子を、少しだけご紹介しましょう。

建物の入り口では、鮮やかなロゴの入ったノボリがお出迎え
こちらは6月の漆展の様子。漆の産地、岩手でつくられる「浄法寺塗」「安比塗」「秀衡塗」「増沢塗」など、数多くの漆器が勢揃いし、見応えたっぷりでした!
お椀や重箱などスタンダードなアイテムも、バリエーション豊富
漆ビギナーには、ふだん使いしやすいスプーンや箸が好評
こちらは、7月に行われた編みかご展の様子。開放感のある会場に注ぐ、自然光の心地よさに心も和みます
岩手県北部の名産・すず竹細工のバッグは人気の一品です

企画展の後半は、体が温まるモノがテーマ。10月の「南部鉄器」では、盛岡と水沢の16工房から集まる作品が一堂に並びます。無料で参加できる、鉄瓶のつくりかた、使いかた、手入れのしかたを学べる「てつびんの学校」も注目の企画です。

(写真提供/田山鐡瓶工房)
(写真提供/及源鋳造)

そして、11月は「ホームスパン」。岩手県に息づく手紡ぎ手織りの毛織物・ホームスパンが彩り鮮やかに並びます。紡ぎ道具や羊にちなんだモノも多数販売されるので、羊好きには見逃せないイベントとなりそうです。

11月のホームスパン展では、マフラーやストールなど冬に向けたアイテムが多数!

かつて、中学時代を盛岡で過ごした宮沢賢治もこの界隈を好み、晩年の詩に詠んでいます。深まる秋の散歩がてら、「赤レンガ」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

赤レンガ伝統工芸館~IWATE Traditional Crafts Year 2019~
開催場所:岩手銀行赤レンガ館/岩手県盛岡市中ノ橋通 1-2-20
TEL:019-622-1236
入場:無料
開催内容:
「Vol.3 南部鉄器」/日程:2019年10月11 日(金)〜13日(日) 10時〜16時30分
「Vol.4 ホームスパン」/日程:2019年11月2日(土)〜3日(日) 10時〜16時30分
URL:https://www.iwagin-akarengakan.jp/

ホームスパン展の詳細は専用サイトへ
URL:https://tekuri.net/homespun2019/

 

東北発&初のバイヤー向け合同展示会。住宅街の小さな洋館に、全国30社が集う3日間

さて、もう一つご紹介するのは、赤レンガ館から歩いて10分ほどの場所「旧石井県令邸」で開催されるイベント。今年で5回目となる東北発の合同展示会、「entwine/エントワイン」(以下エントワイン)です。「展示会に集うモノを通して、いろんな人が緩やかに絡んで新しい縁が生まれるといい」と話すのは主催者の一人、平山貴士さん。エントワインには「絡む」という意味があるのだそうです。

こちらは、バイヤー向けの合同展示会。東北を中心に家具、器、洋服、アクセサリー、食品など、暮らしまわりのさまざまなブランドを集め、出展者と商談をしてもらうイベントです。こうした業者対象の展示会の多くは、首都圏が中心。ところが、平山さんたちは「紅葉の秋、盛岡に質が良くてカッコいい東北のアイテムを集め、旅を楽しむつもりでバイヤーさんに来てもらえたら」と、有志でスタートしたのです。

窓や天井の細工など、建物そのものを見る楽しさも!

初日はバイヤーの商談日ですが、2日目以降は一般のお客さんも入場可能。今年は東北6県をはじめ、全国各地から30組が出展します。会場となる「旧石井県令邸」は、現在の県知事にあたる県令の私邸として、明治18~19年に建設され、盛岡で最も古い本格的な洋館といわれる場所。館内では、部屋ごとに出展者が思い思いのスタイルでブースを出しており、まるで「誰かのお宅を訪ねたような」安らぎ感があるのも魅力の一つです。フード&ドリンクは日替わりで出展、仙台から人気の移動本屋さんがやってくるなど、今年も充実の3日間に。自然光が柔らかに届く室内で、コーヒーやお菓子をいただきながら、モノとじっくり向き合ってみませんか。

昨年開催の様子。まるで会場全体がセレクトショップ。選りすぐりのオリジナルブランドに出合うことができます

ちょうど、紅葉も始まる10月。外壁を包むツタが赤く染まり始め、一層美しさが加わります。会場内では、エントワインオリジナルの「モリオカ散歩地図」も用意されています。観光マップに紹介されていない地元目線のスポットも載っており、盛岡ビギナーもリピーターも、新しい発見があるのではないでしょうか。

entwine/エントワイン
住所:岩手県盛岡市清水町7-51
エキシビション(商談会):10月10日(木)11時〜18時
※バイヤーおよび関係者の商談日。一般の方は入場できません。
マーケット:10月11 日(金)〜12日(土)11時〜18時(最終日は~17時)
※どなたでも入場可能です。
駐車場:なし
URL:http://entwine-tohoku.com/


撮影・取材・文/水野ひろ子
岩手県在住フリーライター・エディター。岩手を中心に、北東北の食、街、地域の暮らし、工芸、地方ビジネス等の取材、企画編集物制作を行う。また、有志と立ち上げた編集ユニット「まちの編集室」にて、地方誌「てくり」を発行。ホームスパン作家とのコラボによる商品開発も行っている。

編集/くらしさ

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