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【ニッポンの名産地 Vol.4】プラモデルといえば静岡県静岡市

【ニッポンの名産地 Vol.4】プラモデルといえば静岡県静岡市

ニッポン各地の多様な名産品から「レアニッポン」が厳選&紹介する連載「ニッポンの名産地」。その第4回では、静岡県静岡市のプラモデルをご紹介します。「えっ、そこってプラモ生産の中心地なの?」と驚く人は少なくないかもしれませんが、国産プラモにおける同市のシェアが86%と知れば、これはもう、誰もが納得しますよね!

この記事は特集・連載「ニッポンの名産地」Vol.4です。

1/24トヨタ ガズーレーシング TS050 HYBRID/世界の耐久レースを戦うためにトヨタ ガズーレーシングが開発し、数々の勝利を遂げたスポーツプロトタイプカーの2018-19年型モデルをリアルに再現。本体価格4700円。タミヤ・カスタマーサービス TEL:054-283-0003 https://www.tamiya.com/japan/products/24349/index.html 写真提供/タミヤ
左/静岡県のほぼ中央に位置する静岡市は葵区、駿河区、清水区の3区から成り、政令指定都市では全国一の面積を誇っています。市域は駿河湾から赤石山脈(南アルプス)の県境まで南北に延びて長大ですが、その多くは山間部であり、人口は南部の狭い平野部に集中。プラモ関連メーカーもそのエリア、および隣接する藤枝・焼津両市に集中しています。右/遠く富士山を望む静岡市の市街地

アオシマ、タミヤ、バンダイ、ハセガワ、フジミ模型……と、これらは模型好きにはもちろんのこと、子ども時代にプラモ作り&遊びを楽しんだ人たちにとっても、大変親しみある存在です。そして実は、いずれもが静岡県静岡市に本社や工場を構えている、あるいは同市を発祥地にしているプラモメーカーなのです。

プラモデル(プラモ)はプラスチックモデルキットの略。その最初は1936年に英国・IMA社が発売した1/72スケールの飛行機模型「フロッグ・ペンギンシリーズ」でした。また、プラモの日本初上陸は’50年代初めで、それはおもに在米軍関係者らによってもたらされました。1958年、東京のマルサン商店が初の国産プラモ「原子力潜水艦ノーチラス 1/300スケール」など4商品を発売。以来、国産プラモは生産拡大が図られ、発展していきます。

現在、静岡市のプラモ出荷額は全国1位で、前述したとおり、そのシェアはなんと86%! この圧倒的な生産力に加え、企画・開発力、生産地としての長い歴史から、同市はプラモの聖地として全国の模型ファンたちに愛されています。

近年、日本のアニメが海外で人気を高めるにしたがって、国産プラモもアニメ関連商品を中心に、アジア各国などの市場で需要を伸ばしています。こうしたこともあり、静岡市は「模型の世界首都・静岡」を謳い、国内はもとより、そうした海外に向けても積極的に、その魅力を発信し続けています。

同市模型産業の祖で、パイロットでもあった青嶋次郎氏
同氏が創業した現・青島文化教材社の現行商品のひとつで、新明和工業の製造による、水陸両用救難飛行艇を1/144スケールで再現した「海上自衛隊 救難飛行艇 US-2」。3800円。青島文化教材社お客様サービスセンター TEL:054-263-2595 https://www.aoshima-bk.co.jp/product/4905083011843/ 写真提供/青島文化教材社

徳川家康の元服式が執り行われ、家康亡きあとには歴代将軍の祈願所となった静岡浅間神社(静岡市葵区)は、1804(文化元)年から約60年の歳月と巨費を投じて再建されました。そしてこのとき、全国各地から宮大工や彫刻師など、すぐれた技をもつ職人たちがこの駿河国府の地に集められ、多くが定住しました。

豊富な森林資源と、同神社の造営に尽力した職人たちの技術力を背景に、駿河国府を中心にした静岡中部では漆器、仏壇などの木製家具、下駄といった木漆産業が定着し、大いに発展。これが、のちに静岡市における模型・プラモ産業の礎となります。

1908(明治41)年、米国から模型飛行機がもたらされると、瞬く間に全国に広まりました。青嶋次郎氏(現・青島文化教材社の創業者)も少年時代、模型飛行機作りに熱中し、27歳でついに静岡市初の民間飛行士になりました。また、青島飛行機研究所を設立し、1932(昭和7)年から木製模型飛行機の製造・販売を開始しました。

これに続き、同市では1941年に長谷川商店(現・ハセガワ)が模型メーカーとして創業し、建築材加工・販売の田宮商事(現・タミヤ)も1948年、この分野に参入するなどし、木製模型各社はそれぞれに独自の商品を展開。飛行機のみならず、木製艦船模型なども人気を集めることとなりました。

1950年代初めのプラモ日本上陸と、それに続く国産の出現により、静岡市では木製模型からプラモへの転換が余儀なくされます。が、木材とプラスチックでは製造技術がまったく異なり、製造工程に高い専門性も要します。そこでプラスチック射出成形などの技術習得に加え、機械、金型、パルプ、印刷など地域の各種産業との分業体制を築くことで、この一大変革を見事達成。以後、数々のヒット商品を生み出してプラモ人気を牽引していきました。

1967年に模型の生産を始めていたバンダイ(1950年設立)は、1980年、TVアニメで人気を博していた「機動戦士ガンダム」のプラモを発売。この大ヒットが導火線となって新たなプラモブームが巻き起こり、同市のプラモ産業はさらなる成長を果たします。

1959年から毎年5月に開催されてきたプラモデルなど各種模型の見本市「静岡ホビーショー」。第58回目となった今年も各国から多くのバイヤーや模型愛好家たちが集まりました。その来場者数は世界最大規模の7万人以上。静岡市のプラモ作りは重要な地場産業であり、しかも、いまや世界中から愛される一大産業でもあるのです。

MG 1/100 ガンダムNT-1 Ver.2.0/日本のプラモ史上最大のヒットを記録したガンダムのプラモデル、通称「ガンプラ」。写真は現行商品で、1989年発売のビデオ作『機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争』に登場するガンダムNT-1を模型化したものだ。5800円。BANDAI SPIRITSお客様相談センター TEL:0570-078-001 https://bandai-hobby.net/item/3199/ 写真提供/BANDAI SPIRITS
静岡ホビースクエア/JR静岡駅南口からほど近い「サウスポット静岡」内にある模型好きの聖地。無料の常設展では静岡の模型メーカー6社(青島文化教材社、ウッディジョー、エムエムピー、タミヤ、ハセガワ、BANDAI SPIRITS)の製品展示を目の当たりにでき、ショップで買い物も楽しめる。住所:静岡県静岡市駿河区南町18-1サウスポット静岡3F TEL:054-289-3033 開館時間:平日11:00~18:00、土・日・祝10:00~18:00 休館日:月曜(月祝の場合、翌火曜休館) 写真提供/静岡ホビースクエア

編集・取材協力/
青島文化教材社
タミヤ
BANDAI SPIRITS
ホビー推進協議会静岡

構成・文/山田純貴

※プラモデルは、すべて組み立て完成例です
※表示価格はすべて税抜き

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