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【沖縄・宮古島】まさに至福の一杯。絶品宮古そばを食べるなら「中休味商店」で決まり!!

【沖縄・宮古島】まさに至福の一杯。絶品宮古そばを食べるなら「中休味商店」で決まり!!

東洋一海が美しいといわれる沖縄の離島・宮古島ですが、もう一つの外せない魅力、それはズバリ「グルメ」。今回は、“みゃーくぴとぅ(宮古の人)”である筆者が、数ある島グルメの中でも絶対に食べていただきたい島の宝・宮古そばと、その名店中の名店!と愛してやまない「中休味商店」をご紹介します。

毎日でも食べたい衝撃の美味しさ“元祖鶏宮古そば”

宮古島で生まれ育った私は、進学・就職で一度は島を離れましたが、結婚・子育てを機に家族で島へUターンしました。島での楽しみといえば、海遊びもそこそこに、もっぱら“食べ歩き”です。昔から変わらない食堂はもちろん、新しい店もまめにチェック。休日になれば美味しいものを求め、家族で島中を駆けまわっています。ゴーヤやらっきょうといった島野菜にはじまり、マンゴーや島バナナなどの南国フルーツ、宮古牛に海ぶどう、モズクにゆし豆腐、泡盛、塩、黒糖……。海と太陽の恵みを受けた宮古島は、まさに“食の宝庫”ですが、そんな中で“№1宮古島グルメ”を挙げるなら、躊躇なく宮古そばを選びます。

一般に「そば」と聞けば蕎麦粉を使った日本そばを思い浮かべるかもしれませんが、沖縄のそばは小麦粉で作られているため、うどんのように白くて太いのが特徴。島の食卓にはたびたび宮古そばが並び、年越しそばだってもちろん宮古そばです。さらに、島を離れた宮古人の元には、実家から頻繁に宮古そばが送られてくるのです。もれなく私もその一人で、懐かしい宮古そばを食べると気持ちがほぐれ、「さあ、明日からまた頑張ろう」と思えたことをよく覚えています。元気をチャージできるという意味では、島民にとってかけがえのないソウルフードともいえます。

そんな宮古そばを幾度となく食べ歩いてきた私が出会った、毎週、いや毎日でも食べたくなる“衝撃の”宮古そば、それが「中休味商店」の“元祖鶏宮古そば”です。いったいどんな経緯でこのそばが生まれたのか、宮古島出身の店主・武富勝行さんにお話を伺いました。

昔ながらの趣を残す外観。以前は、店主の親戚が営む食堂兼商店だったそう
宮古そばに新風を吹き込んだ、鶏がらスープと自家製生麺

私に衝撃を与えたのは、その白濁したスープでした。「他にはない、変わったそばが作りたかったんです」、そう話す武富さんが作る宮古そばは、かつおベースに豚骨だしといった一般的な宮古そばとは違い、鶏がらがベースになっています。「初めは『こんなの宮古そばじゃない』って、地元のおじさんたちに受け入れてもらえなかったですけど(笑)」。しかし周りから何を言われようと、新しい宮古そばを自分の手で作りたいという思いが揺らぐことはありませんでした。

高校生の頃、親戚が営む地元の和食料理店でアルバイトをしたのがきっかけで、料理の世界へ足を踏み入れた武富さん。アルバイトを通して料理の奥深さ、楽しさに目覚めた武富さんは、さらに腕を磨くため18歳で大阪へ渡り和食料理店に就職します。そこで約5年間の修業を積み、沖縄本島へ移ってからもずっと料理の仕事に携わってきました。それから宮古島へ戻り、平成26年5月に中休味商店をオープンしました。

「鶏がらスープはオリジナルだけど、オープンして半年間くらい、麺は加工所から仕入れたものを使っていました。でも、やっぱり麺も自家製の麺が作りたくて…」。武富さんはオープン前から、宮古島ではあまり目にすることのない生麺の開発を続けていました。店を切り盛りしながら試行錯誤を繰り返し、約1年半かけてようやく納得がいく麺を完成させました。そうして出来上がったのが“元祖鶏宮古そば”なのです。

元祖鶏宮古そば(小)、通称・鶏そば。もちもちの自家製麺に、鶏の旨みが凝縮したスープがよく絡む。スープには宮古島特産の雪塩や黒糖も入っているそう。トッピングの鶏もも肉も柔らかくて、優しい味わい
鶏そば以外に定食も豊富。カレーライスは密かな人気メニュー ※メニュー・価格は令和元年11月現在のもの
お店推奨“鶏そばの美味しい食べ方”(ちなみに、ごはんはお好みで付けることができる)。まかないでいろいろ試し、この食べ方を発見して常連さんに勧めたところ大好評。その後、写真のように明文化された
残ったスープに〆のごはん。近頃体形の変化が気になる筆者だが、コショウとラー油を加えたスープが美味しすぎて迷わずごはんを投入。まろやかな鶏の旨みと香辛料の香りが口いっぱいに広がり、あっという間に平らげてしまった(笑)
夫婦二人三脚で、今では行列ができる人気店に。そして次は……

努力の甲斐あって、鶏がらスープに自家製生麺という“新しい宮古そば”は地元民の間でも評判に。オープン当初受け入れてくれなかった地元のおじさんたちも今ではすっかり常連客となり、“宮古そばの珍しくて美味しい店”として機内誌に取り上げられると、一気に行列のできる人気店となりました。
ここでしか食べられない鶏そばを求めてやってくるお客さんのために、毎日朝5時から麺を作り、スープは前日から7~8時間かけて仕込んでいるといいます。

「麺はその日の湿度によって加水率(麺に加える水の量)を変えたり、空調で調整したりしています。それと、鶏はやんばる(沖縄本島北部)産を使っています。火加減や煮込む時間も日によって違いますね」
来る日も来る日も、麺とスープに向き合い続ける武富さん。その努力が中休味商店を人気店にしたのは間違いありませんが、成功の裏にはもう一人大事な立役者がいました。
「真子がいなかったら、間違いなく今の中休味商店はありませんね」
真子さんとは、同じ宮古島出身の勝行さんの奥様です。麺とスープ作りにまっすぐ向かう勝行さんと、勝行さんを支えながら笑顔で接客する真子さん。中休味商店は他のスタッフの力を借りながらも、基本的にはオープン当初から勝行さん、真子さん夫婦の二人三脚で営んできました。
「たまにケンカもするけど、すぐに仲直りします。二人であーでもない、こーでもないと意見を言い合える環境はありがたいですね」と、勝行さんは少し恥ずかしそうに語ってくれました。なるほど、中休味商店の鶏そばが美味しいのは、“愛情”という隠し味が入っているからなのかも。

武富勝行さん・真子さんご夫婦。1女2男のお子さんに恵まれ、協力しながら仕事も家事も二人でこなす。休日の楽しみは家族での食べ歩きと、息子さんたちの野球の応援なんだとか
店内の様子。テーブル席と座敷があり、壁には有名タレントやミュージシャンのサインが並ぶ
レジ下に置かれたガチャガチャ。お子様そばセットは、そば、ふりかけごはん、ジュースにガチャガチャ付き。地元の家族連れが多いのも頷ける。優しい心遣いにホッコリ

「だんだんリピーターが増えて、毎年のように来てくれるお客さんもいたりして。嬉しいし、有難いですね」
伊良部大橋の開通やみやこ下地島空港の開港に伴い、観光地として一挙に注目されるようになった宮古島。昔ながらの小さな食堂に観光客が長蛇の列を作ることも、珍しくなくなりました。もちろん中休味商店も、観光シーズンには開店と同時に満席になることがあるといいます。
「ウチは、地元の人あってのお店だから。でもやっぱり宮古の人にも観光客にも、すべてのお客さんに、ぜひウチでしか食べられない鶏そばを楽しんでもらいたいです」
実際、中休味商店には観光客だけでなく、地元のお客さんも多くいらっしゃいます。宮古島出身の若い夫婦が頑張る姿を喜び、応援したい人も多いのでしょう。
「今、自宅の敷地内に製麺所を建設中で。製麺所が完成したら、お持ち帰りやお土産用の麺を販売できるように考えています」
お土産用の麺ができれば、中休味商店の宮古そばで癒やされる人が全国に広がるかもしれません。かつての私がそうだったように。

宮古島を訪れたら、まずは中休味商店の宮古そばを味わうことから旅をスタートさせてみてはいかがでしょうか。武富さんご夫婦が生み出す至福の鶏そばは、まさに旅の最初の一杯に相応しい“至福の一杯”になることでしょう。

中休味商店
住所:沖縄県宮古島市平良西里2050-1
TEL:0980-72-2868
営業時間:11:00~売り切れ次第終了
定休日:不定休

撮影・取材・文/大嶺真紀
宮古島出身、宮古島在住。地元出身者ならではの切り口で、知られざる宮古島の魅力を掘り起こす。

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