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【山口】お手頃価格でふぐを堪能! 長年愛される名物駅弁「ふく寿司」

【山口】お手頃価格でふぐを堪能! 長年愛される名物駅弁「ふく寿司」

鉄道での旅の楽しみといえば、全国各地の駅弁もその一つ。ご当地名物が詰め込まれた弁当の蓋を開ける瞬間は、何ともいえないワクワク感がありますよね。

今回は山口県の「ふく寿司」をご紹介。その名のとおり、山口県を代表する名物「ふぐ」が味わえる人気の駅弁です。

真ん丸なパッケージにふぐのイラストが描かれた「ふく寿司」。山口県では、「福」にあやかり、「ふぐ」と濁らずに「ふく」と発音する

「ふく寿司」が購入できるのは、瀬戸内海側の県中央部に位置するJR新山口駅。山陽新幹線、山陽本線の停車駅であり、JR宇部線と山口線の起点、さらに観光地「萩」「秋吉台」など、多方面へのバスが発着する“山口県の玄関口”ともいわれる一大ターミナルです。

新山口駅は、2018年に駅舎や北口広場をリニューアル。ちなみに2003(平成15)年までは小郡駅と名乗っていた

駅弁は、新幹線口2階コンコース内「おみやげ街道」で販売されています。毎日7:30頃と13:00頃の2回入荷があり、販売個数は日に10~20個。土・日曜や祝日は、早くに売り切れてしまうケースも多いそう。

「おみやげ街道」は、新幹線改札のすぐ近く
新山口駅では7種類の駅弁が売られている。訪れたのは土曜。午前10時半の時点で「ふく寿司」はすでに残り2個、何とかゲット!

「ふぐ」というからには「お値段やいかに…」と思っていたら、なんと税込870円とリーズナブル! はてさて、どんな中身なのか期待がふくらみます!

錦糸玉子たっぷりのちらし寿司風。ふぐの身だけでなく、皮も味わいのアクセント!

早速「ふく寿司」をいただくことにします。蓋を開けるとふわりと酢の香が鼻腔をくすぐり、食欲がそそられます。

すし飯の上に敷き詰められた錦糸玉子に、ふぐの切り身が鎮座。うん?具材の中には、なんと刻まれたふぐの皮も!

彩り鮮やかな「ふく寿司」。ぎっしり錦糸玉子の上に、右から時計回りにふぐの切り身、わかめ中華風、うにくらげ、皮、海老、その下は椎茸の煮付け、とびこ

一口、錦糸玉子とすし飯とともに、ふぐを頬張ります。んん~、少々強めかと思える酢の効き具合が、むしろいい感じ…美味しい~!

ふぐは、比較的安価な「シロサバフグ」を使用。トラフグやマフグにはさすがに敵わないものの、しっかりふぐの味わいを主張している
ふぐの皮はコリコリと弾力のある食感が楽しい

そして、酢の味わいに舌が慣れてきたところで、力を発揮してくれるのが、付け合わせのうにくらげ、わかめ中華風、椎茸の煮付けです。特にうにくらげの濃厚な味わいは、珍味としてクセになりそうなほど。箸が進みます!

「ふく寿司」は“ふぐの本場”下関生まれ

さて、少しばかり「ふく寿司」の歴史に触れましょう。ふぐは山口県でも下関の名物です。「それならば、なぜ下関駅では購入できないの?」という素朴な疑問はごもっとも。

実際に「ふく寿司」は、元々下関駅の駅弁として1989(平成元)年に誕生しました。当時、同駅では「ふくめし」という駅弁が人気を博していたものの、販売期間は冬季のみ。通年でふぐを味わってもらえる駅弁をと、「ふく寿司」が開発されたそう。

「ふく寿司」は「ふくめし」とともに、長らく下関駅の名物として愛されてきましたが、製造業者の統合により「ふく寿司」のみが受け継がれ、2010(平成22)年に新山口駅へと販売拠点が変わります。

さらに、2015(平成27)年には事業者の撤退により駅弁そのものの存続が危ぶまれる事態に…。名物「ふく寿司」の消滅を惜しむ声が数多く寄せられ、お隣・広島県の「広島駅弁当」がレシピ継承に名乗りを上げ、現在に至ります。(小さな声で小ネタ…。実は広島駅でも買えるんです!)

「ふく寿司」味わう、オススメスポットへご案内!

冒頭でも書いたとおり、新山口駅から山口県内各地へのアクセスの良さは抜群! 「ふく寿司」を美味しく味わえるオススメスポットへとご案内します。

最初のスポットは…、「新山口駅」その場所です! 冗談なんかではなく、自信を持ってのオススメです。駅の北側には広大なテラスが整備されており、ベンチやテーブルがあちらこちらに設置されているんです。

テラスは、かつて駅に存在した「0番線」にちなんで「0テラス」と名付けられている
中には足を投げ出してくつろげるベンチも。都会の駅にはない、ゆったりとした時間の流れが味わえる

駅全体を見渡すテラスからは、新幹線や在来線の行き交う列車が一望できます。乗り換えや次の移動への合間に、駅の情景を楽しみながらの「ふく寿司」はいかが?

次に紹介するのは、「ふく寿司」の生まれ故郷でもある下関。新山口駅からは在来線の普通列車で1時間とちょっと。中でも、関門海峡を一望できる人気観光地「カモンワーフ」「唐戸市場」周辺がオススメです。両施設では、ふぐの唐揚げなども販売されており、ご当地名物での“ちょっともう一品”も楽しめますよ。

関門海峡を望む「カモンワーフ」。周辺には腰を下ろせる場所がたくさんある

3つ目、駅弁ならばやはり列車内で味わいたいもの。JR山陰本線では荒々しい日本海、山陽本線では穏やかな瀬戸内海、海岸線を走る区間が多数あり、車窓はどこを切り取っても絶景です。

絶景区間として知られるJR山陽本線・大畠駅付近

そして、筆者のイチオシは新山口駅を発着する観光列車「SLやまぐち号」! 蒸気機関車に引かれる客車は、電車とは全く異なる乗り心地で、時折聞こえる汽笛がたまらなく旅情を掻き立てます。駅弁を味わう最高の環境といえるかも!?

「SLやまぐち号」は新山口駅と津和野駅間を運行している(運行状況はWebサイト参照http://www.c571.jp/

ひとまず、筆者のオススメの3スポットをご紹介しましたが、「絶景県」とも言われる山口県、紹介したい場所は両手では足りないのが正直なところです。桜や紅葉のシーズンならば、その名所もチェックしてください!

観光でもビジネスでも、新山口駅へ降り立ったならば、名物駅弁「ふく寿司」を味わってみませんか? もちろん帰路に「お土産」としてのチョイスもアリですよ。


撮影・取材・文/兼行太一朗
地元山口のフリーペーパー発行元に14年間勤務した後、フリーライター・カメラマンとして独立。主に旅行、グルメ、歴史、地方創生などについての書籍やウェブサイトを中心に取材・執筆を行っている。拠点とする山口市では、歴史資源を生かした地域活性化に取り組むNPO法人「大路小路まち・ひとづくりネットワーク」にも所属し、守護大名大内氏や幕末に関する史跡、ゆかりの場所や人物についての取材を担う。

編集/くらしさ

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