いつも連載『スマホを捨てよ、町へ出よう』(スマホなし旅)をご覧いただき誠にありがとうございます。ライターの熊山です。スマホなし旅をはじめ、多い年で年間100日以上も国内外を旅しているぼくですが、今回はそんな旅ぐらしの中で揉まれ厳選された「旅道具」にフォーカスをあててご紹介したいと存じます。
テーマは、アパレル。つまり旅のお召しものです。
よく旅行の達人をして語られるのは、「旅先では派手な格好をして目立つな」というルール。悪目立ちしてスリや置き引きなどの犯罪被害に遭わないためです。金髪が何言ってんだ?というツッコミもございましょうが、モノトーン中心の地味な格好をすることで着回しがしやすくなり「荷物が減る」という効果もございます。
ゆえに基本は白いTシャツに黒いパンツ。寒ければこれにジャケットが加わり、暑ければ海パンに替わる。
見た目がシンプルゆえこだわりを感じにくいかもしれませんが、これも考えに考え抜いた結果。ともあれ、今回ご紹介するアイテムは以下の5点です。
- 【ウインドブレーカー】パタゴニア フーディニ・ジャケット
- 【ダウンジャケット】 モンベル プラズマ1000ダウンジャケット
- 【パンツ】 グリップスワニー ギアパンツ
- 【スリップオンスニーカー】 メレル ジャングルモック 2.0
- 【サングラス】 SWANS Df.pathway
では、順番にご覧いただきましょう。
【ウインドブレーカー】 パタゴニア フーディニ・ジャケット
わずか105g、真夏でも持ち歩く定番シェル
アウトドア好きには説明不要の定番ウインドブレーカー、パタゴニアのフーディニ・ジャケット。見た目はごくごく普通のフード付きナイロンジャケットですが、シワ感のある生地に工夫があるんでしょうか、他社のそれに比べるとしなやかな着心地で、肌にぺったり貼り付く嫌な感じがありません。
真夏でも北国や高原を旅すれば朝晩しっかり冷え込みますし、都会でも交通機関などのエアコンで風邪を引きそうになるくらい冷えることも。また、強い日差しから肌を守る日除けとしても活躍。胸ポケットにしまえばレモン大、わずか105gとコンパクトなので旅だけでなく、文字通り365日カバンに忍ばせておいて損はありません。
あまりに好きで4着も持っているフーディニ・ジャケット。サイズは細身かつUS表記なので、日本人はワンサイズ下を選ぶとよいでしょう。
パタゴニア フーディニ・ジャケット
https://www.patagonia.jp/ms-houdini-jkt/24142.html
【ダウンジャケット】 モンベル プラズマ1000ダウンジャケット
こっちは130g、Tシャツより軽いダウンジャケット
昨今流行りのインナーダウン。前述したフーディニ・ジャケットと同じく、軽く小さく携帯に便利で、羽織ってもよし、下に着込んでもよし、と汎用性の高い一着とあって大人気です。そのブームを牽引したのがご存じモンベル製品ですが、そんな同社の最軽量ダウンがプラズマ1000ダウンジャケットです。
ダウンの保温力を表示する数値・フィルパワー(FP)は、1000FP。一般的に700FP以上が高品質ダウンとされていて、例えば定番インナーダウンのスペリオダウン ラウンドネックジャケットが800FPですから、1000FPの暖かさや推して知るべし、です。
少ないダウン量でも暖かい。ゆえにわずか130gとTシャツ(平均200g)より軽いプラズマ1000ダウンジャケット。携帯することが負担にならないため、フーディニ・ジャケットと同様に真夏でも持ち歩きます。とりわけ海や山など冷え込みが激しい状況では、ウインドブレーカーでも寒さがしのげないことがあります。「ちょっと肌寒いな」という時はフーディニ、「冷え込んできた」でプラズマ1000、「耐えられない」場合は下にプラズマ1000を着て上からフーディニ(か、レインジャケット)を羽織れば3シーズンはしのげます。
なお、機能性にはまったく問題がないものの、シルエットや生地のテクスチャはもうちょっと垢抜けてほしいなと思わないでもありません。
モンベル プラズマ1000ダウンジャケット
https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1101493
【パンツ】 グリップスワニー ギアパンツ
毎シーズン即完売! 9ポケットの手ぶらパンツ
スマホなし旅の取材をはじめ、プライベートでもミニくまちゃん(ぬいぐるみ)とカメラは持ち歩いているので最低限カバンは必要なのですが、それでも憧れるのが手ぶらの旅。国内ではそこまでケアすることもありませんが、やはり有限のアテンションは荷物へ向けるのではなく、旅先で出会ったヒト・モノ・コトへと注ぎたい。
そんな夢を叶えてくれるのが丈夫な革手袋でおなじみグリップスワニーのギアパンツです。大小あれこれ9つものポケットを備えているので、鍵、財布、スマホ、イヤホン、ハンカチ、人によっては電子たばこに携帯灰皿なんかを突っ込んでも余りあるほど。レイアウトも絶妙で電子書籍端末や小型タブレットを入れても、動き(歩き、座り)に干渉しにくいよう仕立てられています。
素材はサプレックスナイロンで速乾性が高く、旅先でのお洗濯も安心。スタイルもテーパードゆえ脚が細く長く見える効果もあり。それでいて1万円とリーズナブル、とあって好評のギアパンツ。なんと春先と秋口の毎シーズン、発売即完売が続く人気商品です。ショートパンツ版もあるのでお好みでどうぞ。
惜しむらくはストレッチ性がゼロで、サイズを間違えると動きにくくなること。あと素材にテカリ感があり、前述したフーディニ・ジャケットやプラズマ1000(ともに光沢あり)と組み合わせると、なんとも野暮ったい印象になってしまうことでしょうか。このへんはブラックを避けるか、同社の別素材の多ポケットパンツをお買い求めになられると良いでしょう。
グリップスワニー ギアパンツ
https://www.grip-swany.co.jp/?pid=131534894
【スリップオンスニーカー】 メレル ジャングルモック 2.0
温泉、神社仏閣、お座敷…日本の旅は脱ぎ履きが多い
靴ひもが嫌いで嫌いで長年ベルクロのスタンスミスを履いていたんですが、よく考えたらベルクロも面倒くさいということで、スリッポンに転向したのが2年ほど前。最初は定番のVANSに走ったり、安さ爆発の無印良品などにも向かったのですが、耐久性が低いのかボロボロになるのがお早い。そこでたどり着いたのがメレルの顔とも呼べるスリップオンスニーカー ジャングルモック、20年ぶりのフルモデルチェンジ版「2.0」です。
いずれにせよ日本の旅では、靴の脱ぎ履きがやたらと多いんです。仕事でもプライベートでも一日に温泉を何軒もハシゴすることはよくありますし、神社仏閣にちょいとお邪魔するときも土足厳禁。居酒屋や食事処のお座敷は言わずもがなでしょう。いちいち靴ひもなんて結んでられない。そこでスリップオンです。
ジャングルモック2.0は新たにビブラムソールを採用して、濡れた路面でも滑りにくくなったとか。見た目はコロンとした初代が好きですが、何よりも「滑る」ことが嫌いなので新型をチョイス。自分の足にフィットするまで若干の違和感がありますが、馴染めば軽快です。次もリピートしちゃうだろうなあ、との予感あり。
なお、フットウェアでもうひとつのオススメが、ビルケンシュトックのEVAシリーズ(本記事タイトル部分で使われている写真)。特に、ワンストラップのマドリッドは両足で160g! 海や川といった水辺はもちろん、登山時のテントシューズとして、ホテルや飛行機でのリラックスシューズとして、大活躍しています。
メレル ジャングルモック 2.0
https://www.merrell.jp/product/men-jungle-moc-2-0/
【サングラス】 SWANS Df.pathway
カジュアルな見た目の本格スポーツサングラス
ここまでご覧になって、ぼくが現在の旅のお召しものに至るまで紆余曲折あったことがおわかりになったと存じます。まだまだ帽子、パンツ、靴下とあるのですが、最後はサングラスで締めておきましょうか。だって、みなさんサングラス選びで悩みません?
カッコいいサングラスは高価ゆえ、傷つけたり、なくしたりすると痛い。
あと、実は重かったりもします。長年愛用していたレイバンのウェイファーラーも今にして思えば50gと、鼻にずっしりと跡が残るけっこうなウェイト(最近では25gの軽量モデルも出ているようです)。重さのせいで、うっかり落とすとしっかりフレームやレンズにしっかり傷が付きます。
そこで探し回って見つけたのが山本光学SWANSのDf.pathwayです。SWANSはスキーゴーグルや、ゴルフ、マラソンのサングラスでおなじみアスリート御用達のレンズメーカー。そんな同社の持つ光学技術やフレーム技術を、あえてカジュアルなデザインに落とし込んだのがDf.pathwayというラインなのです。
フレームはウェリントン型に近く、顔の小さい人や女性にも似合うコンパクトなデザイン。わずか20gなのでかけ心地は軽やか。それでいてしっかりホールド。旅先でのランニングや激しいアクションにもしっかり対応します。
ぼくが嬉しかったのは偏光レンズがラインナップされていること。釣りはしませんけども、水の中がくっきり見えますし、なにより夏は雲の輪郭が際立って美しく見えるのです。別にDf.pathwayじゃなくてもいいのです。これからサングラスを選ぶ時は「偏光レンズ」がオススメですよ。
SWANS Df.pathway
http://www.swans.co.jp/lp/df/product-df-pathway.html
●まとめ
いずれもキーワードは「軽い」「小さい」「高機能」でしょうか。となると勢いアウトドアブランドになりがちですが、昨今はブランドロゴを前面に押し出さないライフスタイル系のラインも増えているので、チェックしてみるとよろしいかと存じます。
一方で、なんでもかんでも化学繊維にしていいのか?という自問もございまして、ナイロンやポリエステルは軽量、高機能で便利なんですけども、どうしても着心地がよろしくなく、肌荒れしたり、耐久性が低かったり、体臭が残りやすかったりして、最近は肌に直接触れるもの(Tシャツ、パンツ)は綿がいいなと若干の揺り戻しが起きています。
そんなこんなで、以上5点の旅のお召しものでした。みなさんの旅のお召しもの選びの一助になれば幸いです。チャンスがあれば【ギア編】もお送りしましょう。ではまた〜。
熊山 准(くまやま・じゅん)
リクルート編集職を経て『R25』にてライターデビュー。執筆分野はガジェット、旅、登山、アート、恋愛、インタビュー記事など。同時に自身のゆるキャラ「ミニくまちゃん」を用いた創作活動&動画制作を展開中。ライフワークは夕焼け鑑賞。マレーシア・サバ州観光大賞2015メディア部門最優秀海外記事賞受賞。1974年徳島県生まれ。
熊山准のおブログ
http://www.kumayama.com/
Yahoo! JAPANクリエイターズプログラム
https://creators.yahoo.co.jp/kumayamajun