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富山の「ます寿し」は数十種!? レア、塩味しっかり、まるごと包み…あなたのお好みは?

富山の「ます寿し」は数十種!? レア、塩味しっかり、まるごと包み…あなたのお好みは?

富山県の郷土料理「ます寿し」。
全国的にも知名度が高く、好きだという声もよく聞きますが、実はその種類が数十種もあることはほとんど知られていません。

むしろ富山県に住んでいないと、「ます寿しに種類なんてあるの?」なんて思っている方が大半のはず。いえいえ、ます寿しはお店によってレシピが異なり、食べ比べてみると、その違いは驚くほどです。

富山県には現在数十軒ものます寿し屋があるといわれており、すなわちその種類は数十種! そんな環境で暮らす富山県人の多くは、「“推し”のます寿し屋」を持っています。

そう語る筆者も、実は富山県の出身。富山県に住んでいた頃、自宅で食べたり、県外の友人に送ったりという際には、いつも決まった「推します寿し」を選んでいました。

上京してからも実家に帰った際など母に「最近はます寿し、どこがおすすめ?」と聞くと、「友人の間ではA店とB店が話題ね。C店は、最近ちょっとお米が重くなっちゃって。私は少しレア感の強いA店が好き」なんて、グルメ評論家のようなコメントを返してくれます。一般的な主婦である母に、こんな考察をさせるます寿し…改めてすごい。

ちなみにこの記事を読んで、ぜひ食べ比べたい!と思った方。富山県にお越しの際は、各店で製造・販売まで行っていることがほとんどなので、町歩きしながら“ます寿し巡り”をするのがおすすめです。
なかには「食べ比べ」を意識して、手のひらサイズの“ミニます寿し”など、数種類食べられる工夫をしている店もあるんです(店によって異なるため、事前の確認をお願いします)

また東京でもアンテナショップで日替わり販売や、数種類を食べ比べられるイベントなどを行っているので、足を運んでみるのも楽しいですよ。

筆者も先日、富山県が開催した都内イベントで、5種類のます寿しを食べられる機会があり行ってきました。

いずれも長い歴史を持つ老舗のます寿し屋

その際に準備されていたのが、こちら。左上から順に「川上」「関野屋」「青山」「高田屋」「千歳」と、名店揃いです。

赤みや濃淡が各店によって異なる

容器から出して並べてみると、こんな感じ。色合いからして違うのがわかります。

大正12年創業の「川上」さん。ますの身の赤みが一番強く、目を引いた

それではさっそく、「川上」さんのます寿しから実食スタート。
なんといっても、鮮やかなますの色が特徴で、ぱっと目を引きます。酸味は控えめで、まろやかな旨味。ます・お米ともに押しがしっかりしていました。

明治11年創業の「関野屋」さん。身に厚みがあって食欲をそそる

続いては「関野屋」さん。
塩と酢で旨味を引き出された、厚いますの身が特徴。脂も乗っていて「ますを堪能できている感」が強いです。

創業60年の「青山」さん。厚めでみずみずしい身が特徴的

そして「青山」さん。
この中だと特にレア感があり、身がもっちりやわらかでした。ご飯がほどよい酸味で、ますの旨味を押し上げてくれています。

明治5年創業の「高田屋」さん。筆者が小さい頃、好きだったのはこちら

続いて「高田屋」さん。
ますがしっとりしていて、まろやかな旨味・脂身。お米の水分が多めで、モチモチした食感がほっこりします。

明治4〜5年創業の「千歳」さん。旨味の詰まった身が美味しい

最後に「千歳」さん。
ますの身は薄めに見えますが、ますもお米も塩・酢をバランスよく効かせてあって、食べ応えばっちりです。

試食のはずが、食べる手と口が止まらない筆者

どれも本当に美味しくて、イチオシを決めるつもりが決められませんでした。
完成から食べるまでの時間や、気温・湿度、使われる部位の微妙な差など、細かな条件で味はどんどん変わっていくので、いろいろなお店のものや、1つの店のものでも条件を変えて、食べ比べてみるのがおすすめです。
ぜひ、あなたの「推します寿し」を見つけてください。

ちなみに富山では、若手のます寿し職人も増えているそう。代替わりや、新たなブランドの立ち上げも起きているんです。

(写真提供:大多屋)

イベント会場で富山から来た方たちにインタビューしたところ、何度も名前が出てきたのは「大多屋」さん。
普通ます寿しは酢飯の「上」にますの切り身がのっているものですが、大多屋さんではなんと「表面をぐるり」と、ますの身が包み込んでいます。

ます自体の旨味も強く、そんな身を通常の倍以上も使っているので、「とにかく贅沢! とにかく美味しい!」と絶賛でした。午前中に売り切れてしまうことが多いそうなので、買いに行く際は事前に予約しておいたほうがよさそうです。

使用する調味料のバランスや、ますの産地、重しをのせる時間、できあがりから店頭へ並べるまでの時間など、店によってさまざまなこだわりがあり、味わいも千差万別の一品「ます寿し」。

起源は平安時代まで遡るといわれる郷土料理でありながら、進化を続けるおもしろさも持っています。ます寿しを食べたことがある方も、それがすべてだと思わず、ぜひさまざまなます寿しを食べ比べてみてください。


撮影・取材・文/中川めぐみ
釣りアンバサダー 兼 ツッテ編集長。釣りを通して感じられる日本全国の地域の魅力(食、景観、人、文化など)を発見・発信するため、メディア「ツッテ」の運営や、初心者向けの釣りイベントを実施。自ら全国の港を飛び回っており、2018年は100地域での釣り旅を計画。レアニッポンでは全国の港町で見つけた地域や海にまつわるおもしろいものをお伝えしていきます。https://tsutte.jp

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